NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

NEWS

未来の看護師へ

2012年2月27日 10:18 PM

夜の冷え込みが真冬のようです。
コートの襟を立てて歩いていると、空に美しい月。
寒さを忘れさせてくれるようでした。

きょうは、看護の専門学校での授業でした。
今月8日に続いて、2クラス目。

90分の授業の中で、去年旅立ったおれんじの会副理事長 小野光則さんのメッセージを録画したDVDを見てもらいます。

「検査結果など科学的な事だけを伝える医療でなく、患者がどう感じているのか、どう生きようとしているのかを聴く医療であってほしい」

「患者と医療者が、お互いに人間として関心を持つところから本当のコミュニケーションが始まる」

「50歳でも60歳でも、10歳でも、本人が納得した人生を送れれば、それが天寿」

旅立つ2週間前に病室で録画したメッセージです。

学生さんたちは、細かくメモを取りながら真剣に耳を傾けてくれました。

いつか臨床現場に出たときに、小野さんが遺してくれたメッセージが道を示し、背中を押してくれることと信じています。

 

在宅緩和ケアセミナー 宇和島会場

2012年2月26日 8:25 PM

きょうは、宇和島での「在宅緩和ケアセミナー」でした。

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これは、愛媛県のがん対策事業の一つで、おれんじの会が委託を受けて開催したものです。

約50人の方が参加してくださいました。

まず、市立宇和島病院の岡田憲三先生からのご講演。
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緩和ケアの基礎知識に加え、早い時期から緩和ケアを受けると生存期間が延びるという海外での研究結果についてのお話や、地元での緩和ケアチームの活動について紹介してくださいました。

次は宇和島医師会訪問看護ステーションの菅原たつ子さんのご講演。
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実例を通して、患者さんご本人の要望に沿ったケアを自宅での暮らしの中で支えていく訪問看護の実態を紹介していただきました。
この中で、昼間は外出したいという患者さんの願いを叶えるために、点滴を夜間に行うようにしたという例はとても印象的でした。

この在宅緩和ケアセミナーは、3日(土)14時から、今治の済生会病院でも開催されます。
お気軽にお越しください。

 

やさしさについて考える

2012年2月21日 11:05 PM

ツイッターで気になるつぶやきを見つけました。

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薬のように効果のあるものには大抵副作用もある。
誰かへの親切ややさしさも時にそうだ。
大切な人には、つい今持てる全ての力を捧げたくなるが、それが結果的に相手を苦しめ遠ざけてしまうこともあり得る。
今だけでなくずっと力になり続けられるように、その時々で何ができるか冷静に考えることも大切だ。

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精神科のドクターのつぶやきでした。
肝に銘じたいと思います。

 

人生の仕上げの時に

2012年2月19日 10:22 PM

ある方のお通夜に行ってきました。

お経が終わったところで、お坊さん(という呼び方は失礼なんでしょうか?)から、少しお話がありました。

もともと亡くなった方と親しいお付き合いがあったようで、思い出話と、「見送る」ことの意味について話してくださいました。

儀式の時にお経をあげるだけの関係ではなく、こうした話ができるのはいいものだなぁと思いながら聞かせていただきました。

かかりつけ医に似ているような気がします。

人生の仕上げのときに、自分をよく知ってくれている人が側にいて支えてくれること。
それはとても幸せなことだと思います。

 

患者?経験者?

2012年2月18日 9:58 PM

松山でも雪のちらつく寒い一日でした。

10年前に乳がんの手術を受けた仲間から、リンパ浮腫のような症状があらわれてきたと連絡がありました。

10年経っても、やはり自分は「患者」なのだと痛感したと。

ある会議の場で、「患者」の定義について議論になったことがありました。
治療後5年経って再発がなければ、もう「患者」ではなく「経験者」なのか?
どういう状態になれば「患者」でなくなるのか?
そもそも線引きできるものなのか?

20代でがんと向き合ったランス・アームストロングは、がん患者を支援する自らの財団のマニフェストでこう書いています。
「あなたの体からがんが消えることがあっても、あなたの人生からがんが消えることはない」

5年経とうが、10年経とうが、経過した時間に関係なくがんという病気が、その人の人生に影響を与えることがあります。
身体的なことはもちろん、精神的な事や、仕事やさまざまな社会的問題などです。
例えば小児がんであれば、治療後長い年月を経て現れる後遺症の問題が指摘されています。

こうした課題への取り組みの充実が求められています。

 

サロンでの”患者力”

2012年2月16日 10:35 PM

きょうは、四国がんセンターでのサロンの日でした。

”患者力”を思い知ったサロンでした。

なかなか前向きになれない患者さんに、再発・転移を繰り返しながら笑顔を絶やさない先輩患者さんがアドバイスをしました。

「日々の小さな出来事ひとつひとつに、しっかり目を向けるようになった。ひとつひとつのいいところを探し、それを感謝して生きられるようになった」

家族への病気の告知を受け入れかねている女性に、同じ部位の患者さんが自分の経験を伝えました。
最初は涙が止まらなかった女性が、帰りには笑顔になり、来月のサロンでの再会を約束していました。

四国がんセンターのサロン、次回は3月15日(木)午後1時30分からです。

 

出張先にて

2012年2月15日 10:07 PM

きょうは徳島へ行ってきました。

仕事先でお目にかかった男性は、私とほぼ同年代。
同じ33歳のときに、がんが見つかり治療を受けていたことがわかりました。

当時はインターネットの情報にも限りがあり、図書館へ行っても専門書ばかりだったことや、現在のような制吐剤がなくずいぶん辛い思いをした事など、共通点を語り合いました。

こういう出逢いはうれしいものです。

お互い、元気でいましょうね。

 

胃ろうから考える

2012年2月7日 9:52 PM

ある政治家の胃ろうをめぐる発言が波紋を呼んでいます。
この発言のあったテレビ番組を、昨日偶然見ていました。

母の最期が思い出されました。
食事が取れなくなったときに、胃ろうを選択するかどうか尋ねられました。
母とは、元気な時に終末期のことを十分に話し合い、経管栄養を含め一切の延命措置をしないことを確認し文書で残していましたので、胃ろうも断りました。

でも、本当に一口も受け入れなくなったときに迷いが生じました。
「私は母を殺そうとしているのではないか」

結局、母は最低限の輸液だけで4カ月を過ごし枯葉が枝を離れるような自然な最期となりました。

母の選択を尊重したのだという確信はありますが、それでも死期を早めたのではないかという後悔も、未だ残っています。

家族とはこんなふうに揺れるものではないでしょうか。

ちょうど先月末に、日本老年医学会が高齢者の終末期についての考えを取りまとめ発表しています。
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tachiba/jgs-tachiba2012.pdf

この中で「本人の満足」「家族ケア」「死の教育」などに言及しています。

高齢社会を生きる私たちがしっかり考えていかなければならない問題です。

 

すべての人のための相談支援へ

2012年2月6日 10:45 PM

きょうは、「愛媛県がん相談支援推進協議会」でした。

これは、愛媛県のがん対策を協議する委員会の、専門部会として新たに設置されたものです。

医療関係者、地域の保健師、患者関係者が委員として参加します。
私も患者の立場で参加することになりました。

相談支援と情報提供は、患者・家族にとって厳しい治療を支える「拠り所」であり「命綱」です。
どうすれば、もっと患者・家族の思いに沿った相談支援と、適切な情報提供ができるようになるかを検討していきます。

今夜の初会合で、いくつかの具体策が協議されました。
その一つは、「町なかがん患者サロン」です。
松山市内の中心部に、気軽に立ち寄れる常設のサロンを目指すことになりました。

相談する場所がなく、欲しい情報にたどり着けない。
そういう人をなくすために、一歩前進。

 

患者の思い

2012年2月2日 9:16 AM

数日お休みしてしまいました。
日曜から出張が続いています。

30日(月)は大阪でがん検診を考えるセミナーで司会をさせていただきました。
専門家の講演のほか、肺がんに向き合っている男性の話もありました。
この患者さんは、健康診断で異常が指摘されながら「自分は大丈夫」という過信から精密検査を受けず、進行して辛い自覚症状が出るまで放置していた経験をユーモアを交えて語りました。
こういうナマの経験談は、とても説得力があります。

31日(火)には、がん患者・家族への支援に取り組んでいる方々と、生活面での問題について情報交換をしました。
治療中とその後、生活の中で何が困ったのか?
どういう情報や支援があれば助かるのか?
衣食住にまつわる自分の経験などをお伝えしました。
患者への医療面のケアはもちろん重要ですが、生活を支えることも大事な問題です。

そして、昨日1日は厚労省のがん対策推進協議会でした。
この件については、また日を改めて。

この数日感じたことは、患者の思いを伝えることの大切さです。
早期発見の機会を逸した後悔。
生活の中で感じた不自由さ、辛さ。
救えるはずのいのちが救えない問題。
いまだに残る患者への誤解と偏見。

自分の思いを伝えるのは、痛みを伴います。
でも、やはり伝えなければ。

 

 
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