NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

NEWS

80歳のがん闘病

2008年7月27日 7:45 PM

伯父の入院・手術について何度か書いてきましたが、いよいよ明日退院することになりました。
今年80歳を迎える立派な後期高齢者です。その伯父が、8時間に及ぶ手術に耐え、術後3週間余りで退院します。
伯父は横行結腸にがんがありました。20年前に胃がんの手術を受けていて、癒着がひどく手術に時間がかかりましたが、幸いがんそのものはそれ程進行していなかったため追加治療も必要なく、今後は経過観察をしていく予定です。
高齢で手術をし、入院生活を送ると体力の衰えもさることながら、気力が失せてしまうことが心配されました。ところが伯父は、それも見事に乗り越えたのです。もともと短歌を学んでいたのですが、この入院中の目標「病床三十首」も成し遂げました。詠んで聞かせてくれた短歌には、医師・看護師への感謝の気持ちや入院生活を描写したものと共に、病気への不安や、自分の最期を思うものもありました。決して口に出さなかった不安や辛さは、歌として昇華されていたようです。
お盆に帰省する孫の相手や、地域の夏祭りの世話など退院後の計画もびっしりのようです。

実は、伯父が入院生活を送った病棟は、24年前に父が最期を過ごした場所なのです。
父が息を引き取った時、枕元にいた伯父が「よく頑張った」と言って大粒の涙を流した姿をハッキリ覚えています。
父が生きていれば、こんな白髪になってこんなふうに話しかけてくれたのかと思いながら、このひと月を過ごしました。
いつかは伯父も寿命を全うする日がくるのですが、がんにだけは負けさせたくないのです。父を奪ったがんにだけは、何としても打ち勝って欲しいと願いつつ、明日の退院を見届けることにします。

 

ウイッグ

2008年7月25日 8:02 PM

化学療法の副作用で髪が抜けたときどうするのか?大きな問題です。
男性の場合、そのまま過ごす患者さんも多いようですが、女性はそうはいきません。ウイッグ(かつら)を準備しなければなりません。そこで、きょうはウイッグ情報です。

松山市内の2つのデパートには、どちらにもウイッグを扱うコーナーがあります。そこでお話を伺ってきました。
いよてつ高島屋7階 フォンテーヌコーナーはスタッフ全員が、化学療法による脱毛に関してフォンテーヌ本社での研修を受講しているそうです。売り場の中にはカーテンで仕切る個室が完備されているので安心して相談することができます。
三越松山店7階 フォンテーヌコーナーでは、2人のスタッフが研修を終え、今後順次全てのスタッフが研修に参加する予定とのこと。こちらの売り場でも外から見えない個室が用意されています。三越の売り場の場合、購入者の半数は、副作用による脱毛の患者さんだそうです。

もうひとつウイッグに関する情報です。
NPO法人キャンサーネットジャパンがかつらの貸し出しを始めます。
詳しくはホームページ http://cancernet.jp/ をご覧下さい。

 

医療者・行政と共に

2008年7月24日 8:16 PM

「おれんじの会」は、行政や医療関係者とも協力して活動していくことを掲げています。
そのために、愛媛県内でのがん医療を担う「がん診療連携拠点病院」へのご挨拶と協力依頼を、設立以来続けてきました。
昨日、新居浜市の住友別子病院を訪ね、ようやく7カ所全ての拠点病院をまわり終えました。
拠点病院は、県拠点病院が四国がんセンター
地域拠点病院が、市立宇和島病院、愛媛大学医学部附属病院、県立中央病院、松山赤十字病院、済生会今治病院、そして住友別子病院です。
どの病院も、私たちの活動を理解し、協力を約束してくださいました。感謝です。(すべての拠点病院HPがリンクの中にあります)
具体的にどう”協力して活動していくこと”が出来るのかはこれからの課題です。知恵を出していかなければなりません。
先日の例会で実施した「がん医療に関する意識調査」の中で、がん医療をより良くするにはどうすればいいか?という設問に、半数以上の会員が、患者・家族が積極的に関わるべきと答えました。また多くの患者会員が、自分の病気の経験を社会のために役立てたいと言っています。
これまでは受動的だと思われてきた患者が、知恵を出し声を上げ、行動していく時が来ていると実感しています。
医療関係者や行政の方々と語り合い、さまざまな方向から考えてがん医療をより良いものにしていきましょう。

 

夏の思い出

2008年7月18日 9:21 AM

愛媛でも高校野球の県大会が行われています。
9年前、私が入院していた病院のすぐそばに松山市民球場があり、そこが高校野球の舞台でした。
7月半ば、手術後の回復のため院内を歩くことを日課としていて、外来患者さんがいなくなった頃を見計らって、2階の病棟から渡り廊下を通って外科外来の突き当たりまでが、お決まりのコースでした。
突き当たりは全面ガラス張りになっていて外が見えます。そして球場から歓声が聞こえてきます。”普通の”世界に触れられる場でした。
手術の傷と体力は、まだ33歳という若さもあって日に日に回復していきます。しかし、病理結果を待つ心は晴れることはありませんでした。
待ちに待った病理結果が届いたのは、術後11日目。悪い予感は当たり抗がん剤治療が必要だと言われました。ナースステーションで説明を受け部屋へ戻ると、隣のベッドの患者さんが起きて待っていてくれました。結果を伝えると、カーテン越しに一緒に泣いてくれました。
9年が経ち、球場も病院も移転しました。私は再発もせず元気に暮らしています。でも、高校野球のニュースを見ると、あの古い病院の暗い廊下と泣いた夜を思い出すのです。

 

第3回例会

2008年7月13日 7:56 PM

きょうは、私たちの会の第3回例会でした。
これまで”ジプシー”さながらに会場を転々としていましたが、愛媛県総合保健協会から会場提供を頂けることになり、ここを例会会場として定めることが出来ました。
きょうの例会では、アロマセラピーの講習・実演を取り入れました。
緩和ケア認定看護師の方から基本を教えていただき実践してみました。リンパ浮腫や痛みを治すことは出来ませんが、芳香を嗅ぎ、マッサージをする(受ける)ことによりリラックスする効果が期待できます。
数種類のアロマオイルを嗅がせてもらい、「あ、これはいい」「こっちは好みの香り」と楽しみました。マッサージのコツも教えていただきましたので、今頃家で実践している人もいるかもしれませんね。
その後は語り合いです。
これまでは部位毎に別れて語り合っていましたが、今回は試みとして「緩和ケア」「治療と仕事」「治療とこころ」「家族のケア」などのテーマを設け、興味のあるテーマ別に語り合うことにしてみました。
それぞれにテーマに沿って(時には脱線しながら)交流が続きました。

今回の参加者は54人でした。
きょう午前中に退院した人や、あす、今後の治療のために処置を受けなければならない人、ご家族が入院して厳しい治療を続けている人も参加してくださいました。
それぞれに闘いがあります。病気との闘いだけでなく、家族の事や仕事の問題、恋人との事を悩む人もいます。帰って行く後ろ姿を見ていて思いました。それぞれの闘いに患者会の存在がほんの少しでも力になれているんだろうか?と。
まだ歩き出したばかりの会ですから暗中模索です。
例会に参加なさった方は、ご意見・ご希望をどんどんお寄せ下さい。
みんなで一緒に考えていきましょう!

きょうの例会では嬉しいこともありました。
医療者(看護師)が参加してくださったことです。感謝でした。
次回例会は8月3日(日)です。

 

小児がん

2008年7月12日 8:13 PM

「がんの子どもを社会で支えよう」という講演会が、きょう四国がんセンターで開かれ参加してきました。
この講演会は、国立がんセンターがん対策情報センターが市民向けに開いたもので、築地のがんセンターと全国各地をテレビ会議システムで結んで行われました。
小児がん治療の現状、長期に見守る仕組み、子どもと家族を支える活動などについて専門家が講演し、その後質疑応答が続きました。
現在、小児がん患者の7割から8割は治るのだそうです。それは喜ばしいことですが、晩期合併症という問題が存在します。成長過程での抗がん剤投与や放射線照射などが影響し、臓器機能や生殖機能、成長・発達などへの影響が、治療終了後何十年も経ってから見られるというのです。そのために長期にわたるフォローアップが必要なのです。全国の参加者からは、どの段階まで小児科で診てもらえばいいのか、主治医が変わった場合、情報の引き継ぎはどうすればいいのか?といった質問が出ていました。
また、子どもの復学の問題も取り上げられました。学校で異端児のような目で見られたり、配慮不足、逆に特別扱いなどを受けることもあるそうです。教育現場での理解が求められます。
四国がんセンターの会場での参加者は30人ほど。全国の他の会場では数人しかいない所もありました。それだけ患者数が少ないということなのか、あるいは社会全体の関心が薄いのでしょうか。
小さな身体で病気と向き合うのは半端な辛さではないでしょう。我が子が苦しむ姿を見せつけられる親の苦しみも大変なものだと思います。それを代わってあげることは出来ませんが、がんの子どもと家族が、病気やその後の合併症を抱えながらも普通に暮らせる社会を作るにはどうすればいいのか、私たちに何が出来るのかを考えてみたいものです。

 

ピンクリボン

2008年7月10日 8:01 PM

ピンクリボンは、乳がん啓発運動のシンボルマークです。
最初にマークを掲げて活動を始めたのはアメリカだそうです。
現在では、日本でも各地でピンクリボン運動が展開されるようになりました。
そして愛媛でも、乳がんの早期発見・早期治療の大切さを訴える運動を展開するために「ピンクリボンえひめ協議会」が設立されることになりました。
きょうは、その発起人会があり私も参加してきました。
発起人は15人。医療者・行政・ボランティア団体・地元企業、そして患者会の代表も2人含まれています。
今後、がん啓発に取り組む意思のある団体・事業所などに参加を呼びかけていく事が決まりました。今月末には設立総会が開催される予定です。

 

喫煙

2008年7月9日 9:08 PM

おじが入院している病院へ通っていますが、建物から出た途端タバコの匂いが漂ってきます。この病院では、建物内は禁煙ですが、敷地内に喫煙コーナーを設けているのです。
パジャマ姿の患者さんたちが紫煙をくゆらせています。
病人の見舞い・付き添いで心身共に疲れた身には、タバコの匂いは不愉快きわまりないものでした。

多くの病院同様、四国がんセンターは敷地内全面禁煙です。広い駐車場にも「禁煙」の張り紙が出されています。それを知ってか知らずか、たまに駐車場で喫煙している姿を見かけました。そこで、ある時病院側に「禁煙を徹底してほしい」という申し入れをしたことがありました。先日病院へ行きましたら、「あの申し入れ以来、駐車場の見回り回数を増やして禁煙の呼びかけをしているんですよ」と事務の方が話してくださいました。

病院によっては、敷地内全面禁煙が難しい状況もあるようです。
全面禁煙にしてしまうと、どうしても吸いたい人が病院の周辺でタバコを吸い、周辺住民から苦情が出るそうです。であれば、敷地内に灰皿を備えた喫煙コーナーを設けたほうがいい、という言い分です。
確かに一理あります。
しかし、国の「がん対策推進基本計画」では、がんの予防においては、たばこ対策を進めることが重要としていますし、「愛媛県がん対策推進計画」の中では、医療機関については、敷地内禁煙を推進すると明記されています。
がん治療を担っている医療機関には、たばこに対する断固たる態度を願います。

 

患者と医療者 その2

2008年7月2日 8:04 PM

入院中の伯父に、外科の医師から今後の治療方針についての説明が行われ、家族と共に聞いてきました。
入院してから関わってくださっているのは内科医なので、外科のドクターと会うのは伯父も初めて。30代後半~40代前半と思しきドクターは、診察室でまず立ち上がり名前を名乗りきちんと挨拶されました。そして、画像や図を使いながらわかりやすく説明。途中で、「ここまではおわかりですか?」と何度も聞いてくださいました。話し方は、高齢の患者に対してよくあるような子供扱いではなく、年長者への敬意を持ってきちんと話してくださいました。
最後も、また立ち上がり見送ってくださいました。
教科書に載せたいような対応でした。
80歳で手術をしなければならない伯父と家族にとって、このドクターの態度はどれだけ安心材料になったことでしょう。

ところで、この説明にかかった時間は1時間。
診療報酬にどう反映されるのでしょうか?
前日は、この病院が救急当番だったため、外科のドクターたちはことのほか忙しい日だったと聞きました。
医師の激務が取り沙汰されるようになって久しいですが、状況はますます悪化しています。知り合いのドクターはみなギリギリのところで、使命感のみで頑張っているように見えます。
よりよい医療を求めるには、患者のhappyだけでなく、医療者のhappyも共に考えていく必要があります。そのために患者・家族には何ができるのでしょうか?

 

患者と医療者

2008年7月1日 9:24 PM

今年80歳になる伯父が、大腸がんの手術を受けることになりました。先週末から、市内の病院に入院中です。
ここで嬉しいことがありました。
伯父の病棟の看護師さんから、患者会のことで声をかけてもらいました。がんの事を勉強したいと思っていること。患者会に医療者も参加していいのか?とのことでした。もちろん大歓迎です!とお伝えしました。
私たちの会は、医療者や行政の方々とも協力しながら活動することを掲げています。そのためには、医療機関で片方が白衣を着て、ではなく、”普通に”話をすることが第一歩となるのではないかと考えています。
もし、このブログをお読みになっている医療者がいらっしゃって患者会の活動に興味があれば、ぜひ例会にご参加ください。一緒に話し合いましょう!

 

 
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