NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

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緩和ケア

2008年5月6日 4:54 PM

NHKで四国向けに放送された「四国羅針盤~広がる緩和ケア~」を見ました。がん対策基本法の中でも大きな柱となっている緩和ケアについて、基本法施行から1年経ってどう広がっているのかを取材した番組でした。前半では徳島の拠点病院での取り組みが、後半では松山の病院での家族への緩和ケアの取り組みが紹介されていました。
この番組を見ていて、ある友人の事を思い出しました。
彼女は20代でがんが見つかり、手術・放射線・抗がん剤と治療を重ねましたが、残念ながら効果はありませんでした。検査結果を説明した主治医に対して、彼女は「では、私は死ぬのを待つしかないということですか?」と尋ねました。返ってきた言葉は「そうですね」の一言だけ。その夜家族で話し合って、退院し自宅で療養することを決めました。翌日、ある訪問看護ステーションの責任者が病院を訪ねて来て、彼女の手を握りじっくり話を聞いた後で「一緒に家に帰りましょうね」と声を掛けてくれました。手の温もり、「一緒に」という言葉・・・これこそが緩和ケア、いえ医療の本来の姿だと私は感じました。この看護ステーションの母体が、今回の番組で紹介された松山ベテル病院です。
がん患者の痛みは多様です。身体の痛みはもちろん、治療はどんな苦痛を伴うのか、治るんだろうか、仕事はどうなるんだろうか、なぜ自分ががんに?・・・こうした痛みに寄り添うのは極めて難しいことです。しかし、国のがん対策はがん治療に関わるすべての医療者に対して緩和ケアへの理解をはっきりと求めています。
愛媛県でも「がん対策推進計画」に緩和ケア推進センターの設置が盛り込まれました。(まもなく成文が発表される見込み)県民と医療者が緩和ケアに対して理解を深めることを目的としています。法律や計画が”絵に描いた餅”にならないために私たちは、その実効性をしっかり見守らなければなりません。それは、私たち患者・家族の義務ともいえるかもしれません。恩恵を受けるためには、私たちにも為すべき事があるではないでしょうか。

 

 
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