NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

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痛みとは

2012年1月11日 9:40 PM

出張先、仕事の最中に頭痛が襲ってきました。
終わってから慌てて薬を飲みましたが、吐き気を感じるほどの重症です。
ホテルはチェックアウトした後だし、喫茶店に入って休む気にもなれず、ともかく空港へ向かう事にしました。
空港にはクリニックがありますから、たどり着きさえすればなんとかなる。
電車で45分、この間に薬が効いてきて少し楽になりました。
事情を伝えて、飛行機の便を早める手続きをしたANAカウンターの女性が「もし辛くなられたら、いつでもおっしゃてください」と言ってくれた優しさに救われた思いでした。

ところで、がん患者はさまざまな痛みを抱えます。
まず、いわゆるがん性疼痛をはじめとする身体的な痛み。
不安などの精神的痛み。
経済的な問題や仕事のことなどの社会的な痛み。
そして、自分の存在価値などに関わる痛みで、これは専門用語では霊的な痛みと呼ばれます。

ともかく、まずはがん性疼痛を解消しようという考えがあります。
確かに、痛みがあると何も考えられなくなり気持ちまで落ち込みます。
薬剤などで緩和できるのであれば、十分な治療がなされるべきです。
日本での医療用麻薬の使用量は諸外国に比べて少なく、国内でも医療機関によって差があり、この問題は解決されなければなりません。

しかし、何が何でも体の痛みを取ることが最優先、というのは少し違うのではないかと思っています。

ある患者さんがこう言っていました。
「この薬を飲めば体の痛みは取れる。でもね、私にとっては、薬を飲む事の辛さは、体の痛みより辛い。そのことを医師や看護師はわかってくれないのよ」

患者ごとに、家族ごとに、またその時々にさまざまな痛みがあります。
医療用麻薬の使い方を学ぶ事は重要ですが、ひとつひとつの痛みに寄り添いながら丁寧に対応していく”思い”を持つこともまた欠かせないものだと思います。

 

 
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