NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

NEWS

人生の仕上げの時に

2012年2月19日 10:22 PM

ある方のお通夜に行ってきました。

お経が終わったところで、お坊さん(という呼び方は失礼なんでしょうか?)から、少しお話がありました。

もともと亡くなった方と親しいお付き合いがあったようで、思い出話と、「見送る」ことの意味について話してくださいました。

儀式の時にお経をあげるだけの関係ではなく、こうした話ができるのはいいものだなぁと思いながら聞かせていただきました。

かかりつけ医に似ているような気がします。

人生の仕上げのときに、自分をよく知ってくれている人が側にいて支えてくれること。
それはとても幸せなことだと思います。

 

患者?経験者?

2012年2月18日 9:58 PM

松山でも雪のちらつく寒い一日でした。

10年前に乳がんの手術を受けた仲間から、リンパ浮腫のような症状があらわれてきたと連絡がありました。

10年経っても、やはり自分は「患者」なのだと痛感したと。

ある会議の場で、「患者」の定義について議論になったことがありました。
治療後5年経って再発がなければ、もう「患者」ではなく「経験者」なのか?
どういう状態になれば「患者」でなくなるのか?
そもそも線引きできるものなのか?

20代でがんと向き合ったランス・アームストロングは、がん患者を支援する自らの財団のマニフェストでこう書いています。
「あなたの体からがんが消えることがあっても、あなたの人生からがんが消えることはない」

5年経とうが、10年経とうが、経過した時間に関係なくがんという病気が、その人の人生に影響を与えることがあります。
身体的なことはもちろん、精神的な事や、仕事やさまざまな社会的問題などです。
例えば小児がんであれば、治療後長い年月を経て現れる後遺症の問題が指摘されています。

こうした課題への取り組みの充実が求められています。

 

サロンでの”患者力”

2012年2月16日 10:35 PM

きょうは、四国がんセンターでのサロンの日でした。

”患者力”を思い知ったサロンでした。

なかなか前向きになれない患者さんに、再発・転移を繰り返しながら笑顔を絶やさない先輩患者さんがアドバイスをしました。

「日々の小さな出来事ひとつひとつに、しっかり目を向けるようになった。ひとつひとつのいいところを探し、それを感謝して生きられるようになった」

家族への病気の告知を受け入れかねている女性に、同じ部位の患者さんが自分の経験を伝えました。
最初は涙が止まらなかった女性が、帰りには笑顔になり、来月のサロンでの再会を約束していました。

四国がんセンターのサロン、次回は3月15日(木)午後1時30分からです。

 

出張先にて

2012年2月15日 10:07 PM

きょうは徳島へ行ってきました。

仕事先でお目にかかった男性は、私とほぼ同年代。
同じ33歳のときに、がんが見つかり治療を受けていたことがわかりました。

当時はインターネットの情報にも限りがあり、図書館へ行っても専門書ばかりだったことや、現在のような制吐剤がなくずいぶん辛い思いをした事など、共通点を語り合いました。

こういう出逢いはうれしいものです。

お互い、元気でいましょうね。

 

胃ろうから考える

2012年2月7日 9:52 PM

ある政治家の胃ろうをめぐる発言が波紋を呼んでいます。
この発言のあったテレビ番組を、昨日偶然見ていました。

母の最期が思い出されました。
食事が取れなくなったときに、胃ろうを選択するかどうか尋ねられました。
母とは、元気な時に終末期のことを十分に話し合い、経管栄養を含め一切の延命措置をしないことを確認し文書で残していましたので、胃ろうも断りました。

でも、本当に一口も受け入れなくなったときに迷いが生じました。
「私は母を殺そうとしているのではないか」

結局、母は最低限の輸液だけで4カ月を過ごし枯葉が枝を離れるような自然な最期となりました。

母の選択を尊重したのだという確信はありますが、それでも死期を早めたのではないかという後悔も、未だ残っています。

家族とはこんなふうに揺れるものではないでしょうか。

ちょうど先月末に、日本老年医学会が高齢者の終末期についての考えを取りまとめ発表しています。
http://www.jpn-geriat-soc.or.jp/tachiba/jgs-tachiba2012.pdf

この中で「本人の満足」「家族ケア」「死の教育」などに言及しています。

高齢社会を生きる私たちがしっかり考えていかなければならない問題です。

 

すべての人のための相談支援へ

2012年2月6日 10:45 PM

きょうは、「愛媛県がん相談支援推進協議会」でした。

これは、愛媛県のがん対策を協議する委員会の、専門部会として新たに設置されたものです。

医療関係者、地域の保健師、患者関係者が委員として参加します。
私も患者の立場で参加することになりました。

相談支援と情報提供は、患者・家族にとって厳しい治療を支える「拠り所」であり「命綱」です。
どうすれば、もっと患者・家族の思いに沿った相談支援と、適切な情報提供ができるようになるかを検討していきます。

今夜の初会合で、いくつかの具体策が協議されました。
その一つは、「町なかがん患者サロン」です。
松山市内の中心部に、気軽に立ち寄れる常設のサロンを目指すことになりました。

相談する場所がなく、欲しい情報にたどり着けない。
そういう人をなくすために、一歩前進。

 

患者の思い

2012年2月2日 9:16 AM

数日お休みしてしまいました。
日曜から出張が続いています。

30日(月)は大阪でがん検診を考えるセミナーで司会をさせていただきました。
専門家の講演のほか、肺がんに向き合っている男性の話もありました。
この患者さんは、健康診断で異常が指摘されながら「自分は大丈夫」という過信から精密検査を受けず、進行して辛い自覚症状が出るまで放置していた経験をユーモアを交えて語りました。
こういうナマの経験談は、とても説得力があります。

31日(火)には、がん患者・家族への支援に取り組んでいる方々と、生活面での問題について情報交換をしました。
治療中とその後、生活の中で何が困ったのか?
どういう情報や支援があれば助かるのか?
衣食住にまつわる自分の経験などをお伝えしました。
患者への医療面のケアはもちろん重要ですが、生活を支えることも大事な問題です。

そして、昨日1日は厚労省のがん対策推進協議会でした。
この件については、また日を改めて。

この数日感じたことは、患者の思いを伝えることの大切さです。
早期発見の機会を逸した後悔。
生活の中で感じた不自由さ、辛さ。
救えるはずのいのちが救えない問題。
いまだに残る患者への誤解と偏見。

自分の思いを伝えるのは、痛みを伴います。
でも、やはり伝えなければ。

 

聴す

2012年1月28日 11:12 PM

庭の白梅。
よ~く見ると、蕾がほんの少しふくらんでいました。
底冷えの寒さが続いていますが、間違いなく季節はめぐっていくことを感じさせてくれます。

さて、きょうの題名「聴す」
なんと読むでしょうか?

答は「ゆるす」
先日の今治のサロンのときに、臨床心理士の方が教えてくださいました。

三省堂の大辞林によれば、「聴す」とは…
『願い、申し出などを聞きいれて、願いどおりにさせる』の意味があるそうです。

病気に向き合う人の側にいる者として、深く胸に刻んでおきたいと思います。

 

済生会今治病院サロンスタート

2012年1月26日 9:45 PM

済生会今治病院へ行ってきました。

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改修工事が進み、外観も内部もすっかり様子が変わっていました。

ファイル 863-2.jpg

相談支援の窓口も大きく変わりました。
なんとなく薄暗いのは節電対策だそうです。
利用者のために、ここだけは明るくしてほしいと注文させていただきました。

今回の改修に合わせて「患者サロン」というスペースが新設されました。
日頃は、がんに限らず病院を利用する患者・家族のために開放されています。

きょうは、ここで初めての「がん患者・家族のためのサロン」が開催されました。

ファイル 863-3.jpg

十数人の方が参加していました。
「こういう場を待っていた」
「笑える場所にしてほしい」
中には、ご家族を見送った悲しみを抱えて参加した方もありました。

次回開催日は未定ですが、病院としては定期開催に向けて準備を進めるということでした。
それぞれが負っている大きな荷物を、一時でも下ろして誰にも遠慮なく語り合える場所になりますように。

あすは松山赤十字病院でサロンがスタートします。
午後3時から、健康管理センターで開催。
どなたでも自由に参加できます。

 

患者がすべきこと

2012年1月25日 9:46 PM

ここのところのいくつかのご相談で、共通して感じたこと。
それは、患者にもすべきことがあるということです。

自分の治療の経過。
どういう治療を、いつ受けたのか?
どういう検査を受けてその結果はどうだったのか?
服用している薬は何か?

自分の体調の変化。
不調はいつごろからか?
どこが、どういうふうに、いつ頃変化したのか?
薬を飲んだらどうだったのか?

自分のカラダに起こっていることに対して、あまりにも無頓着というか、厳しい言い方をすれば無責任でいて、「医者は気付いてくれない」「もっと説明をしてほしい」と言うのはいかがなものかと思ってしまいます。

以前、ある患者会のリーダーがこう言っていました。
「自分の病歴、体調の変化についてA4サイズの紙1枚にまとめられること、5分で説明できること。そういう訓練を、日頃から患者もしておかなければいけない」

もちろん、副作用の厳しい治療の最中には無理です。
しかし、病状が落ち着いているときに、そういう”訓練”をしてみることは大事だと思います。
患者にも、家族にもすべきことがあります。

 

 
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