NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

NEWS

誰のために仕事をするのか?

2009年8月30日 11:21 PM

うっかり開票速報に夢中になっているうちに、ブログの更新を忘れるところでした。

きょう午後、緩和ケアを考えるセミナーに参加してきました。
四国各地での医療者の取り組みが発表されました。
この中で、松山ベテル病院の在宅療養支援センターの吉田美由紀看護師の発表が印象に残りました。
地域緩和ケアシステムの目的を、「患者・家族が納得した医療を受け、納得した療養生活を送り、納得した人生の最期を過ごすことができる」ことだとしました。

そもそも医療は誰のためのものでしょうか?
患者・家族のためのものであることは明らかです。
であるはずなのに、時々、医療者のためのものかと思うような発表に出会うことがあります。
どうすればスムーズな診療体制が実行できるか?
スタッフの負担を少なくするにはどうすべきか?
もちろんそれも大事ですが、大前提は患者・家族のためにあるべきです。

医療も政治も、いったい誰のためのものなのか?
そこを見誤らないでほしいものだと思います。

 

マック!

2009年8月29日 8:54 PM

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きょうの昼食、マックのハンバーガーです。
滅多に食べることはないのですが、毎年この時期になると必ず食べています。
これには、闘病中の思い出があるのです。

10年前の8月23日から、第1回の抗がん剤治療が始まりました。
(こういう日付は決して忘れないんですよね)
27日までの5日間治療が続き、その後副作用に苦しみ、ようやく食欲が戻ってきたときに食べたくなったのが、なぜかマックだったのです。
元気なときはほとんど食べることがなかったくせになぜ非常時にハンバーガーだったのかわかりませんが、とにかく家族に買って来てもらいました。
病室では食べにくいので袋を提げて病棟の食堂へ行ったところ、奥の席に座っていた患者さんの前にも同じ袋が!
思わず顔を見合せて笑ってしまいました。

その患者さんは24歳で卵巣がんの治療中でした。
いつもとても可愛い帽子をかぶっていました。
彼女のお母さんと話したとき「私が代わってやりたい」と言っていたのが忘れられません。

9月の声を聞く頃になると、毎年ハンバーガーを買い、辛かった治療の日々とあの患者さんを思い出すのです。

 

がん対策予算

2009年8月28日 10:49 PM

蒸し暑い一日でした。
松山では夜になって雨が降り始めました。

さて、きょうはちょっと硬い話です。
厚労省の来年度概算要求が公表されました。
http://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/10gaisan/dl/syuyou2.pdf
この中のがん対策の項目をご覧ください。
これだけでは、細かな内容がわかりませんが、予防・検診と研究に大きく配分されているのがわかります。
いま、まさに苦しんでいる患者・家族のための取り組みはいったいどうなっているのでしょうか?

この概算要求も、選挙の結果次第でどうなるかわかりません。
この国はいったいどこへ行くのか?
いのちに向き合う政治が実現できるのか?
いよいよ明後日は投票日です。

 

サリドマイド

2009年8月27日 8:11 PM

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今夜7時前の西の空です。
日中は蒸し暑さが戻ってきましたが、空の高さや雲の様子には秋を感じる気がします。

会員専用掲示板に、ある薬についての情報が寄せられました。
サリドマイドです。
かつて大変な薬害をもたらした薬ですが、多発性骨髄腫の治療薬として去年承認されました。
しかし、実際には患者さんの元に届いていないのだそうです。
原因はいくつかありますが、1つは高額薬価。
1錠が6570円、窓口負担に換算すると月に6万円です。
患者の多くが高齢者で、年金の中からこの費用を出すのは簡単ではありません。
更に、処方のための手続きがきわめて煩雑なことも問題です。
かつて薬害をもたらした薬だけに、安全管理基準は厳しく処方できる医療機関が限られているのです。
詳しくは日本骨髄腫患者の会 http://www.myeloma.gr.jp/ をご覧ください。

がん治療のために開発され、使用が広がってきている分子標的薬も多くが高価で、そのために治療を断念する患者がいるのは事実です。
いのちとお金を天秤にかけるような社会であってはならないのです!

 

正しく恐れる

2009年8月26日 7:56 PM

秋を迎える準備です。
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庭木のせん定に、いつものシルバー人材センターの方が来てくださいました。
すっきりしました。

松山で9月6日に予定されていた乳がん関連のイベントが中止になったという連絡が入りました。
インフルエンザの流行を考慮して、だそうです。

9月は「がん制圧月間」、10月は「乳がん月間」で、がんに関するイベントが目白押しです。
このブログでもたびたび触れてきた「リレーフォーライフ」も、9月から10月にかけて全国各地で開催されます。
実行委員会の方々がどれだけ心を砕き、エネルギーをかけて準備してきたかを知る者としては、中止なんてことがないように祈るばかりです。

いま私たちに出来ることは、うがいと手洗い。もし感染したら他の人に感染させないために最大限の努力をすること。
そして最新の正しい情報をもち、「正しく恐れる」ことです。
やみくもに自粛をしたり、センセーショナルな報道に踊らされるのは避けなければなりません。

 

医療ミスに思うこと

2009年8月25日 8:38 PM

きょうは過ごしやすい一日でした。
夕方には、吹く風が少しヒンヤリして秋の気配を感じるほど。
今夜は扇風機も出番なしです。

さて、新潟大学病院で医療ミスがあったと報じられています。
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015093921000.html(←すぐに更新されてしまうと思います)
誤って前立腺がんと診断された男性が、不要なホルモン治療や放射線治療を1年に亘って受けさせられていたというものです。

このニュースを聞いて、ほとんどのがん患者は「自分も診断ミスじゃないか」と考えたでしょう。
そうでなくても、自覚症状のないまま告知を受けた患者の場合、どこかで検体が入れ替わったんじゃないか、診断ミスじゃないかと一度は疑います。
顕微鏡に映るがん細胞に名前が書いてあるわけじゃなし。
信じられない、信じたくないと思うものです。
でも、画像や血液検査の結果などを積み重ねられて遂に観念せざるを得なくなるのです。

ニュースによれば、「現在その男性に治療の影響は見られないが将来的には放射線治療の後遺症が現れる恐れがある」そうです。
治療の影響は見られない…それはデータで測れる影響ですね。
告知を受けたときの気持ち、治療を受ける不快感、家族の不安。
それらはどうなるのでしょう?
その影響こそ考慮されなければなりません。

なぜこうしたミスが起きたのか?
報じられるところでは、研修医が関わって起こったミスだとされています。
事実はどうなのか?
その研修医がミスを起こしてしまうほど厳しい勤務状況になかったか、フォロー体制は十分だったのかが気になります。
大学病院での研修体制、診療体制が厳しく見直されるべきでしょう。
同時に、医療の道に一歩踏み出したばかりの研修医が、この事を真摯に心に刻み、患者の弱さに寄り添える本物の医師に育ってくれることを願います。

 

もうちょっと頑張ってみようかな?

2009年8月24日 9:09 PM

きょうの昼、打ち合わせ中に何度もの着信。
大腸がんの治療をしている方のご家族からの電話でした。
打ち合わせが終わって折り返してみると、主治医から抗がん剤の変更を告げられすっかり動揺している様子でした。

病院へお訪ねしてお話を伺いました。
これまでの治療の副作用が重なって体調を崩し、ようやく少し落ち着いてきたところでの薬剤変更の話で、しかも副作用についてかなり厳しい情報ばかり聞かされたようでした。

再発患者さんの多くが、ある段階に来ると同じようなことを言います。
「こんなにしんどい治療を続けて、どれほど命が延びるんだろう?
 いっそ止めてしまいたいけど、それも怖い。
 どうしたらいいんだろう…」

この問いへの正解はありません。
病気にどう向き合うのか?どう生きていきたいのか?
その厳しい問いへと続いていくのです。

お電話をくださった患者さんは、薬剤師からの説明も受け、とりあえず新しい薬剤での治療を受けてみることになりました。
「もうちょっと頑張ってみようかな」
心細そうな作り笑顔に「そうですね」と返すしかありませんでした。

何のために、何に向って頑張るのか?
頑張らない選択は、自分にあり得るのか?
自分の中で、家族も一緒に、医療者の助言も受けて、どこかの段階でしっかり考えておく必要があるのではないでしょうか?
とても難しいことですが。

 

264枚の黄色いレシート

2009年8月23日 9:00 PM

夜の風に涼しさを感じます。
きょうは「処暑」。暦の上では暑さがおさまる頃だそうです。
遠くから花火の音が聞こえます。
9日に行われるはずだった花火大会が、雨のためきょうに延期になっていました。
本当は夏の盛りのお祭りだったはずですが、2週間ずれただけで”行く夏を惜しむ”という感じです。

さて、おれんじの会では活動のための費用を捻出するため、さまざまな取り組みをしています。
各団体の助成金応募、寄付金のお願い、そしてイオングループの「幸せの黄色いレシートキャンペーン」もその一つです。
スーパージャスコで毎月11日行われているもので、この日だけ黄色に変わるレシートを、あらかじめ登録した団体のボックスに入れていただくと、その金額の1%相当の商品がジャスコから各登録団体に寄付される仕組みです。

今年3月~8月までの半年間6回のキャンペーンで、おれんじの会のボックスには264枚 524,531円分のレシートが寄せられました。
ご協力くださったみなさま、ありがとうございました!
活動に必要な文具などに換えさせていただきます。

 

がん診療連携協議会

2009年8月22日 8:49 PM

きょうは「愛媛県がん診療連携協議会」に出席してきました。
これは、県内のがん診療連携拠点病院を中心にがん診療の課題などについて協議するもので、医師、看護師、ソーシャルワーカー、それに県の担当者など約90人が参加。患者代表として2人も参加しています。

地域連携パスやがん登録、集学的治療、相談支援などの分科会に分かれて討議を行い、公開講演会も行われました。
11時から夕方5時前までの長丁場。

こうした会議や研究会、学会は毎週のように開かれています。
きょう話をしたある医師は、12月半ばまで週末はすべて予定が入っているそうです。

がん医療を充実させるための取り組みも、一歩ずつ進んでいるのです。

 

患者がほしいのは”正しい対応”?

2009年8月21日 9:52 PM

国立がんセンターHPに、全国のがん診療連携拠点病院での、「緩和ケア」と「相談・支援窓口」に関する調査が行われ、その結果が公表されています。
http://ganjoho.jp/public/hospital/jspm.html

昨日の愛媛新聞でも大きく取り上げられていました。

愛媛県内の7つの拠点病院は、どちらの分野もほぼ全国平均に近くまずまずの体制が取られているようです。
しかし、残念ながら、おれんじの会に寄せられる相談の中には、病院への不満の声が少なくありません。
よくお話をうかがってみると、病院の対応が明らかに間違っていると思われるケースはほとんどないのです。
むしろ、正しい対応をしていて、それが逆に患者・家族の不満に繋がっているようなのです。
例えば…どうしても主治医とうまくコミュニケーションが取れない。どうしたらいいだろうか?と相談したところ、回答は「主治医とよく話し合ってみてください」
落語のようなやり取りです。

患者・家族の多くは精神的にもギリギリのところで病気と向き合っています。
そこで欲しいのは必ずしも正しい対応とは限らないのです。
まず共感。
一緒に怒ったり泣いたりしてくれれば嬉しいかも。
そして解決に向けての十分な話し合い。
この過程があれば、最終的な回答が望むものでなくても納得できることは多いはずです。

これは理想です。
おそらく医療者もこんな取り組みがしたいと思っているでしょう。
でも現実には、ヒトが足りない。時間がない。
したくても出来ないのだと思います。

患者・家族の願いと医療者の理想、これが現実となるためには大きな仕組みを変えていくしかないのでしょうか?

 

 
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