NPO法人 愛媛がんサポート おれんじの会

NPO法人愛媛がんサポート おれんじの会は、主に愛媛県内のがん患者と家族、その関係者が集う会です。

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過去なのか、未来なのか?

2009年10月14日 8:52 PM

日中はおだやかに晴れていた松山ですが、夕方から短時間に激しい雨が降る不安定な空模様となりました。

さて。
もし残された時間があまり長くないとしたら、患者・家族は医療者から何を聞きたいでしょうか?
なぜこんなことになったのか、でしょうか?
それとも、これから何ができるか、でしょうか?

あるご家族に主治医が病状説明をしました。
たっぷり1時間近くをかけての説明でした。
最初の治療から詳細に、時々の検査値も細かく数字を挙げ画像を並べて変化を示します。
こんな抗がん剤を使ってきました。こんな効果がありました。
…延々と続く過去の話。
そして最後の最後に、これ以上の治療はできないこと、その場合の余命は数か月であることが告げられて話は終わりました。

その翌日、訪問看護ステーションを訪ねました。
まず尋ねられたのは「ご本人は何を望んでいらっしゃいますか?」そして「ご家族はどうなさりたいですか?」
ご家族は、点滴でなく口から食事を取ってほしいこと、シャワーをさせてあげたいこと、オムツではなくトイレで排泄をさせてあげたいことを伝えました。
担当の看護師から「できる方法を一緒に考えましょう」と返事をもらいました。

治療を中止し残り時間が見えたとしても、その人の人生は続くのです。
もう一度口から食べたい、お風呂に入りたいという願い、オムツ交換のたびに感じる辛さ。
一日でも一時間でも早く願いを叶え、辛さを解消してあげる方法を考えるのが医療ではないのでしょうか?
過去の治療法の良し悪しやその結果を延々と論じている時間はないはずです。
未来をどう支えるか?です。

 

 
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