仲間がいるということ
2019年10月28日 8:12 PM
朝晩は肌寒さを感じるほどになりました。
ご近所のハナミズキも、真っ赤に色づいた葉っぱが舞い落ち始めています。
さて、昨日は
おれんじの会に所属するピアサポーターが集まっての
事例検討会でした。
ピアサポート活動の中で、対応が難しかった事例について
個人情報を除いた形で検討します。
どの活動でも、毎回心を砕いて対応にあたっていますが
振り返ると
「あれでよかったんだろうか?」
「もっとできたことがあったのではないか?」と思うことはしばしばです。
それらについて、意見交換し
これからの活動に役立てていくことを目的としています。
もう一つの目的は
ピアサポーター自身のしんどさを、お互いにサポートし合うこと。
患者・経験者として、家族として
大切な人を見送った経験者として
「ひとりじゃない」ことを確認し合い、チカラを得るのも
大事なことです。
昨日は、あるピアサポーターが炊いた”栗ご飯”を
みんなで分け合っていただきました!
治療を受けていた頃、
退院して、家の窓から外を眺めながら感じた
どうしようもない孤独。
仲間に会いたかった。
いま病気に向き合っている患者さんやご家族
そして、大切な人を見送った方が
同じ経験をした人に会いたい!と思うときに
側にいる。
そのことを大事に、これからも活動を続けていきます。
病気に向き合う子どもと共に
2019年10月22日 7:41 PM
松山は、さわやかな秋晴れの一日でした。
金木犀が満開です。
さて、先週金曜18日に『フットサルリボンinえひめ』が開かれました。
湘南ベルマーレフットサルクラブの選手 久光重貴選手が続けている活動です。
自らも肺がんの治療を続けている久光さん。
試合と治療の合間を縫って全国の病院を訪ね、
小児がんなどの病気に向き合っている子どもたちと
フットサルを通して交流しています。
今回は愛媛新聞社の「愛giverプロジェクト」の一環として
愛媛で初めて実現しました。
記事はこちら
わたしも、子どもたちと触れ合うときに同行させていただきました。
子どもたちと一緒に楽しくボールを追いかけながらも、
常に真剣、全力で向き合っている姿が印象的でした。
病気へ向き合うときにも
その後の人生でも
チャレンジしていくことがとても大事だということを伝えていました。
久光さんの取り組みについては
http://f-ribbon.jp/ をご覧ください。
久光さんと愛媛を結びつけたのは
去年10月に旅立ったわたしたちの仲間。
奇しくも、21日は彼が旅立ってちょうど1年。
残してくれたものは、とても大きくあたたかな実を結んでいます。
病室から見えるもの
2019年10月11日 8:21 PM
台風19号が近づいています。
きょうから、東京で第32回日本サイコオンコロジー学会が開催され
わたしも、明日シンポジウムと市民公開講座に登壇予定でしたが
2日目の日程はすべて休止となってしまいました。
ずいぶん大きな影響が予想されていますが、
どうか被害が少なく過ぎて行ってくれますように。
思いがけず出張がなくなり、少し家の片付けをしました。
我が家にある1枚の絵皿を、ひさしぶりにじっくりと眺めました。。
石鎚山が描かれています。
わたしの前職の上司が描いたものです。
報道記者として最前線で仕事をしていたときに
難病に罹患されました。
入退院を繰り返しながら、
医療や福祉に関するすばらしい番組を次々に作り出していました。
あるとき、入院中にお見舞いにうかがったら
病室には絵やクッションが置かれていて、まるでご自宅のリビングのようでした。
そのときに、奥さまが
「どんな病室だって、少しの工夫で家みたいに快適にできるのよ」と
おっしゃったのが強く印象に残りました。
長く厳しい病気との向き合いへの
覚悟のようなものが込められていたのではないかと思います。
絵皿は、病室から見えた風景を描いたもので
旅立たれた後に送っていただきました。
もう20年以上も前のことになります。
病室からの風景をどんな思いで見ていらしたのか。
どんなことを思っていたのか。
もっともっと聞かせていただきたかったと思います。
「正しくおそれる」遺伝性のがんについて
2019年10月6日 9:23 PM
10月は乳がん啓発月間です。
きょうの愛媛新聞では、遺伝性のことが取りあげられています。
https://www.ehime-np.co.jp/article/news201910060036
女優 アンジェリーナ・ジョリーさんのことで知られるようになった
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群=HBOC
この当事者である菅野 綾さんのインタビューも掲載されています。
ご自身が経験した複雑な思いなども語ったうえで
「正しくおそれる」ことの重要性を指摘しています。
菅野さんは、孤立しがちな仲間との交流や
正しい知識を学ぶ機会を設ける活動にも積極的に取り組んでいます。
菅野さんたちの活動については https://www.clavisarcus.com/
遺伝性のがんについての相談先は…
●四国がんセンター:遺伝性がん診療科
https://shikoku-cc.hosp.go.jp/hospital/class/genetic_familial/
●愛媛大学附属病院:臨床遺伝外来
https://www.hsp.ehime-u.ac.jp/section/section/id/38
リレーフォーライフについて
2019年10月1日 9:18 PM
本日付の愛媛新聞に、
今年のリレーフォーライフについての記事が掲載されました。
この中で、わたしたちおれんじの会が参加しないことが書かれていますが
不参加に至った経緯や思いなどに全く触れられておらず
誤解を招きかねないと感じました。
そこで、9月10日に会員向けに送った文書を
ここに公開いたします。
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2009年におれんじの会会員を含む有志で高知のリレーに参加し、
2010年に愛媛での初めての開催となりました。
会員のみなさまはじめ、
医療者や企業・団体、そして多くのボランティアが集まり、
患者・経験者、ご家族、大切な人を見送った方々のことを
大事に想う24時間を積み上げてきました。
第1回の閉会式で、
おれんじの会副理事長だった小野光則さんが残してくれた
『つなげよう この24時間を次の24時間へ』というメッセージは、
その後もずっと受け継がれてきました。
9年間、ほとんど同じメンバーが中心となって開催してきましたが、
実行委員やチームのまとめ役をしてきた人達も年齢を重ね、
仕事や家庭の事情で参加が難しくなってきました。
そのために、昨年をもって実行委員会は解散いたしました。
後を引き継いで、今年は日本対がん協会愛媛県支部が開催することとなりました。
掲げるメッセージは新しくなり、
これまで以上に寄附集めの色を濃くしたリレーとなります。
もともとリレーフォーライフは、
研究支援や相談事業のために寄附を集めることも大きな目的の一つではあります。
しかし、それ以上に大事なのは、
参加している当事者を大切にすること、
その場に来られない方々を静かに想うことだと、わたしたちは考えてきました。
そうしたわたしたちの考えが、
今年のリレーでは希薄になっていると感じ、
役員会で慎重に検討した結果、
今年のリレーにはチームとしての参加は見送るという結論に至りました。
年に一度のこの日を楽しみに、
励みにしてくださっている方々には本当に申し訳なく、
残念ですが、ご理解いただければ幸いです。
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第1回のリレーフォーライフが終わって数日後
手紙が届きました。
たどたどしい文字で「お父さんと一緒に歩いたよ」と書かれていました。
この子の父親は、すい臓がんで旅立っていました。
リレーフォーライフの会場で、母親と手をつないで一緒に歩きながら
たくさん思い出話をしたのでしょう。
反対側の手は、きっと見えない手につながっていたんだと思います。
この手紙を読んだときに
愛媛で最初のリレーフォーライフを立ち上げた苦労はすべて飛んでいきました。
9年間、実行委員の仲間と一緒に大切に、大切にしてきたリレーフォーライフ。
わたしたちは離れましたが
参加してくださる患者さんやご家族、大切な人を見送った方々にとって
これまでと同じようにあたたかな時間になりますように。