生きててよかったと思ったことがあったんだろうか?
2011年1月31日 10:16 PM
NHKの『クローズアップ現代』で、最近がんの話題がよく取り上げられています。
今夜は小児がんがテーマでした。
治療が終わった後、何年も経って現れる晩期合併症についての取材でした。
番組の中で紹介されたある男性。
幼いときに発症した神経芽腫の治療による晩期合併症に苦しみ続け、遂に20代で自らいのちを絶ったのだそうです。
その男性の父親が、こう言いました。
「息子は、生きててよかったと思ったことがあったんだろか?」
あまりに悲しく、悔しい言葉です。
大人のがんの場合でも、治療後にさまざまな後遺症を抱えることがあります。
手足の強いしびれ。
腕や脚の浮腫。
排泄障害。
味覚がなくなったり、食べる機能が失われることもあります。
がん細胞が身体から消えることと、本人が楽しいと思いながら生きていくこと。
この2つが必ずしもイコールとならない医療。
厳しい治療を経て、みんなが「生きててよかった」と思えるようになるには何が必要なのでしょうか?
医療技術の進歩は言うまでもありませんが、それ以外にも支える手はあるような気がしています。
クローズアップ現代はきょう深夜にも衛星第2放送で再放送があります。
詳しくはhttp://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2994
3日ぶりです
2011年1月30日 9:02 PM
更新を3日もお休みしてしまいました。
体調を崩しているわけではありませんのでご心配なく。
まず、訂正から。
1、秋田での旅日記の中で「にがりがっこ」と書いていましたが正しくは「いぶりがっこ」です。
秋田の方からご指摘をいただきました。
特産品を間違えて失礼いたしました。
2、香川県での企業連携による「がん検診受診率向上プロジェクト」について全国でも珍しいと書きましたが、現在は全国に広がっていて、地元愛媛でも去年10月に提携を正式に決めていました。
http://www.47news.jp/localnews/ehime/2010/10/post_20101029204733.html
失礼いたしました。
以上2点、お詫びして訂正いたします。
さて。
ここのところブログ更新のエネルギーがちょっと落ちていたのには理由がありまして…。
我が家のネコが、22日に旅立ってしまったのです。
以前ブログでも書きましたが、去年夏にがん告知を受けていました。
確かに次第に弱ってはいましたが、前日まで好きなエサを食べ、いつものように洗面台に飛び乗って水を飲んでいたのです。
それが一泊の出張から戻ったときには、もう冷たくなっていました。
ひとり、いや一匹だけで逝かせてしまったことが申し訳なく、もしかしたら前日出掛ける前に鳴いていたのはお別れだったのかと思うとたまらない気持ちです。
外出先から帰るたびに、その不在を確認し涙の出る毎日を過ごして1週間。
ようやく、ほんの少し立ち直りこうしてブログに書く気持ちになれました。
天国での再会の日までお別れです。
ある方が、「ひめちゃん、おつかれさまでした」と書いてくださいました。
そう、いままでありがとう。
私たちを支えてくれて、ありがとう。お疲れさまでした。
いつか天国で会おうね。
ちょっとアタマを切り替えて
2011年1月26日 10:18 PM
きょうは高松へ行ってきました。
香川県では、県と11の企業が協力し「香川県がん検診受診率向上プロジェクト」を展開しています。
全国的にも珍しい取り組みだそうです。
このプロジェクトにも参加している保険会社主催のセミナーで、がん経験者として話をさせていただきました。
松山と高松。
都市部の方は、近いもんだと思われるかもしれませんが、新幹線のない四国では移動にはとても時間がかかります。
在来線で片道2時間半。
『たった1分で人生が変わる片付けの習慣』は読了。
『半島へ ふたたび』は半分まで。
これまで出張の移動時間というのはひたすら寝るか、がん関連の資料を読むか、でした。
まったく関係のない本を読んだのは久しぶりです。
そもそも書店で、そういう本に手が伸びたのが自分でも驚きです。
アタマを切り替えたい思いがどこかに潜んでいたのか。
それとも、現実逃避?
キッカケはどうあれ、しばし日常と違う思考回路を使って何だか心地いい充実感です。
家族を支える
2011年1月25日 9:27 PM
きょうの朝日新聞で、おれんじの会が作成した小冊子『家族必携』が紹介されました。
https://aspara.asahi.com/column/gantotomoni/entry/I77JjM8rUt
記事は「心のケア 家族にも」というテーマで、家族を支えるさまざまな取り組みが紹介されています。
この記事を読んで、おれんじの会HPへお問い合わせが既に4件。
どこにも問合せ先は掲載されなかったのですが、ネットで調べて連絡をくださったのです。
それだけ、情報が欲しい、どうにかして患者を支えたいというご家族の強い思いがあるのだと思います。
神奈川、福岡などお問い合わせくださった方々の元へ発送させていただきます。
ささやかでも、支える人を支えるチカラになることを願いながら。
祈り
2011年1月23日 9:52 PM
自分にチカラを与えてくれる言葉というものを、多くの方は持っていると思います。
私は、辛いことや悲しいことがあるたびに『祈り』という詩を思い出します。
これは、ニューヨークリハビリセンター病院の壁に、ある患者が書いた詩だと言われています。
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大事をなそうとして力を与えてほしいと神に求めたのに
慎み深く従順であるようにと弱さを授かった
より偉大なことができるように健康を求めたのに
より良きことができるようにと病弱を与えられた
幸せになろうとして富を求めたのに
賢明であるようにと貧困を授かった
世の人々の賞賛を得ようとして権力を求めたのに
神の前にひざまずくようにと弱さを授かった
人生を享楽しようとあらゆるものを求めたのに
あらゆることを喜べるようにと命を授かった
求めたものは一つとして与えられなかったが
願いはすべて聞きとげられた
神の意にそわぬ者であるにもかかわらず
こころの中の言いあらわせない祈りはすべてかなえられた
私はあらゆる人生の中でもっとも祝福されたのだ
秋田にて
2011年1月20日 9:49 PM
雪国秋田へ行ってきました。
先週の富山での雪道悪戦苦闘の記事を読んでいた秋田のTさんが、娘さんの靴を届けてくれました。
靴の底が分厚いゴムで、踵に突起物が取り付けてあります。
確かにこれを履くと南国の人間でも雪道を歩けました。
ありがたい心配りでした。感謝。
とんぷり、にがりがっこ、秋田の銘酒を味わいました。
『働き盛りのがん』をテーマにした講演会で訪れた秋田。
患者会のTさん、県でがん対策を担当なさっている方々とも意見交換できました。
秋田でのがん対策の話から、愛媛でも取り入れられそうなアイディアを伺いました。
いろいろな所へ出掛けて、人に会う。
これもまたパワーにつながります。
がんをめぐる現実 そして希望
2011年1月18日 9:34 PM
いつも様々な情報提供をしてくださるハンドルネームすいぎゅうさん。
掲示板に、読売新聞の記事の情報を書き込んでくださいました。
会員のみなさんは是非掲示板をお読みください。
がん治療と高額療養費の問題を取り上げた記事です。http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=35592
最近のがん治療は費用が高額になり、患者・家族の生活を圧迫しています。
先日愛媛で行った患者への調査でも、経済的な理由から治療継続が危ぶまれる患者が、調査時(2010年夏)入院中の回答者512人中の3割に上るという結果が出ました。
すいぎゅうさんが掲示板に書いている通り、この現実をしっかり理解し、その対策を考えていかなければなりません。
厳しい現実もありますが、一方で希望を感じるニュースも届きました。
リレーフォーライフの、ある会場での実行委員長を務めた方からの報告です。
共にサバイバーであるご夫婦に、赤ちゃんが誕生したそうです。
夫は48歳で胃がん経験者。
妻は45歳の乳がん経験者。
きっとたくさんの悲しい涙を流したお二人。
これからは三人で楽しい思いを積み上げていってくれることを祈っています。
『大丈夫。』
2011年1月17日 9:54 PM
きょうも寒い一日でした。
きょうは映画のご紹介です。
昨日のイベントで上映された『風のかたち』の監督 伊勢真一さんの最新作は『大丈夫。』
小児科医細谷亮太さんの姿を追ったドキュメンタリーです。
予告編はこちらhttp://www.youtube.com/watch?v=NODPucGnPWs
細谷さんは診察室で「大丈夫」と言います。
患者・家族の多くが医療者から「大丈夫」という言葉を聞きたいと言います。
厳密に「大丈夫」でなくても、ひとこと安心できる言葉を聞きたいものなのです。
でも実際の医療の現場で、その言葉を聞くことはまずありません。
逆に「こんな副作用があります」「後遺症が残るかもしれません」「最悪の場合は…」と聞きたくない説明ばかりです。
前向きになろうとする気持ちも萎えてしまいます。
昨日、映画『大丈夫。』の話を一緒に聞いていた医師がこう言いました。
「僕は、大丈夫と言える医療を取り戻したいんですよ」
大丈夫と言える医療。
患者・家族と医療者が信頼し合い、同じ方向を見て進んでいける医療。
とても大事なテーマを与えられた気がしています。
弱さが強さに変わる時間・場所
2011年1月16日 8:40 PM
おっと、たったいま地震。
大きな揺れではありませんでしたが、ドキッとしました。
阪神淡路大震災からあすで16年です。
きょうは、小児がんの子どもたちのことを考えるイベントでした。
10時~16時まで、二部構成の大イベント。
司会でお手伝いをさせていただきました。
午後の部のチャリティコンサートは、NPO法人ラ・ファミリエが主催です。
ラ・ファミリエはがんや慢性の病気に向き合う子どもと家族を支援する活動をしています。
詳細はhttp://www.npo-lafamille.com/
今回のイベントには、小児がんについて正しい情報を知ってほしいという願いが込められていると聞きました。
いま病気に向き合っている子どもや、がんを乗り越えた経験者がステージに立ち、歌を歌いメッセージを語りました。
イベントのテーマは「弱さが強さに変わる時間・場所」
映画の中に登場する小児がんの子どもや、ステージに立つ子どもたちの姿からは生きるチカラが溢れていました!
地域のがん対策
2011年1月15日 10:09 PM
寒いですね。
この寒さの中のセンター試験。
う~ん、大変だ。
きょう、このブログを読んでくださった方から「会員さんが分担して書いているんですか?」と質問をいただきました。
この記事はすべて、おれんじの会の代表者である松本陽子が書いております。
プロフィールをご参照ください。
記事の内容などについての責任は私にあります。
念のため。
川崎医科大学で開催された市民公開講座です。
テーマは『みんなでつくろう、地域で支えよう、がん患者さんの支援の輪』
国立がん研究センターの渡邊清高先生から、「患者必携」について紹介する基調講演が行われました。
「患者必携」は、がん患者・家族のみなさんにさまざまな情報を届けるため作業を進めてきた冊子のことです。
詳しくは、国立がん研究センターのHP http://ganjoho.ncc.go.jp/public/qa_links/hikkei/index.html をご覧ください。
そして、岡山でのがん対策について、行政の担当者、地域で緩和ケアネットワークに取り組む医師、大学病院の医師、そして私からは愛媛での患者会の取り組みについて紹介させていただきました。
こんなに寒い日でしたが、入院中の患者さんも含め多くの参加者が熱心に聞いていらっしゃいました。
きょうの公開講座でも話題に出たのですが、いろいろな取り組みがあってもそれが患者・家族の手元に確実に届かなければ意味がありません。
実はそこが一番難しいところです。
愛媛でも同様。
どうすればいいかを考えながら帰ってきました。