がんと就労
2013年12月8日 9:25 PM
晴れておだやかな一日でした。
昨日は、東京秋葉原で開かれた「がんと就労」に関するシンポジウムに登壇させていただきました。
これは、国立がん研究センターの高橋都先生が代表者を務める厚労科研研究班が主催したものです。
医師、看護師、ソーシャルワーカー、そして患者それぞれの立場から
がん患者の就労に向けたさまざまな支援について報告を行いました。
この中で、名古屋第二赤十字病院の赤羽和久先生のご発表は特に興味深いものでした。
乳がんと診断された患者199人のうち、告知直後に退職した人が17人もいたそうです。
告知後、詳細な検査を経て治療法が決まってから
仕事を続けるかどうかを決めてもいいはずなのに
「早過ぎる決断」をしてしまうケースが少なくないというお話でした。
赤羽先生は、医療現場での就労支援は告知時から始めるべきで
まず医師から「仕事はすぐにやめる必要はありません」と一言声をかけることが重要とのご意見でした。
そして休業が必要な期間を含め治療の見通しを患者にしっかり伝えること、
また勤務形態や通勤手段などの就労内容について、医師が理解することも必要だと指摘されました。
わたしもそうでしたが
がん告知というのは、冷静な判断力を奪います。
妙な焦燥感にかられます。
そんなときに、仕事を辞めるなどの重要な決断をすべきではないのです。
最近は、治療と仕事の両立について関心をもつ医療者が増えています。
主治医やソーシャルワーカーなどに相談してみると
仕事と治療を両立する方法が見つけられるかもしれません。
一人で抱え込まないこと
専門家の知恵を借りること
急いで決断しないこと
これが、患者側にできることです。
シンポジウムを主催した研究班では
がん患者の就労を支援するためのさまざまなツールを開発、提供しています。
詳しくは http://www.cancer-work.jp/tool/index.html