愛の点滴100ミリリットル
2017年3月16日 9:10 PM
朝晩はまだ寒さを感じますが
庭には確実に春が訪れています。
さて
愛媛新聞(3月15日付け)の『四季録』に
「愛の点滴100ミリリットル」というタイトルが付けられていました。
旭川荘南愛媛病院院長 岡部健一先生の文章です。
以下に一部を記します。
先日、市立宇和島病院でがんの在宅緩和ケアの症例研究会があった。
終末期には点滴は医学的には無益だという意見がある中で
アドバイザー役である松山ベテル病院の中橋恒院長が
思いやりの表現として
患者さんや家族に頼まれて
「100ミリリットルのブドウ糖液でも点滴することがある」と
発言された。
医学的には効果がなくても
演出としてとても大切なことだと思いを新たにした。
中橋先生は、もともとは呼吸器外科の医師で
多くの肺がん患者さんを手術などで”治す”ことを主としていました。
しかし、残念ながら治せない患者さんを多く診る中で
最期まで寄り添う医師になりたいと思い
緩和ケア医の道を選んだとお聞きしています。
そして、現在では、特に在宅での緩和ケアの充実のために
県内各地を飛び回って活動なさっています。
いよいよの時に、家族が「せめて点滴でも」と患者に寄せる愛。
そんな家族の思いに応える主治医としての愛。
そんな「愛の点滴100ミリリットル」。
医師と患者、家族の間に
医学としての判断だけでなく
心が介在する関係が、もっともっと広がることを願います。