治療と仕事の両立、阻むものは?
2015年7月14日 10:52 AM
「がんと共に働く」
就労世代でがんに罹患する人が増え、この問題の重要性が言われるようになりました。
医師や看護師などの医療者、企業の経営者など
立場を超えて議論が行われる機会も増えています。
しかし、現実は?
昨日、都内で治療をしている女性と話をしました。
手術の日程がようやく決まったものの、入院日が決まらない。
職場での引継ぎの段取りをしようにも、その計画が立たない。
「病院の事情もわかるのよ。
患者は、わたし1人じゃないし、予定通り退院できない人が出ればベッドが空かない。
でもね、その病院の事情を職場に理解してくれとは言えないわよ」
そのとおりです。
治療が一段落して、通院しながら働く、仕事を探すことに目が向きがちですが
治療スタートのところで職場の理解が得られなければ
それまで積み上げてきた信用にも影響しかねません。
治療と仕事の両立を阻むものは、こういうところにもあると
改めて考えさせられました。
勝俣範之先生ご講演
2015年7月12日 10:41 PM
今月、町なかサロンを開設して3年を迎えました。
記念しての講演会に、日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科の
勝俣範之先生をお迎えしました。
治療法を選ぶとき、さまざまな情報をどう考えればいいのか?
科学的に情報を取捨選択するにはどうすればいいのか?
いわゆる「医療否定本」を例に挙げながら解説していただきました。
「超早期がんも進行がんになる可能性があり
進行がんも治療をしっかりやることで治ることも、延命できることもある。
ただし、治療と生活の質のバランスを考えることが必要。
自分が何を大切にしたいのかを医療者と話し合う中で
そのバランスを見つけていくことが大切。
そのためには、正しい情報を知り、
主治医に限らず良い味方を見つけること」
このような内容でした。
参加者の中には医学生の姿もあり
「患者から余命について尋ねられたらどう答えるべきか?」という質問が出ました。
勝俣先生は
「余命を尋ねることの裏側にある不安に目を向けるべき。
どんな不安があるのか?
なぜ、それを聞きたいのか?
患者の思いに耳を傾けるように」
と答えてくださっていました。
先生は、「医療否定本の嘘」(扶桑社)を出版されています。
関心のある方はお読みください。
ブログは、http://nkatsuma.blog.fc2.com/ です。
がん治療、何を信じればいい?
2015年7月8日 9:50 PM
きょうも雨。
青空が恋しいです。
町なかサロンを開設して3年を迎えます。
記念しての講演会を12日に開催します。
講師は、日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科の勝俣範之先生です。
いわゆる医療否定本について、科学的知見に基づいて反論を展開している医師で
その取り組みはNHKでも紹介されました。
つい先日には『医療否定本の嘘』(扶桑社)を発行されました。
この中で、最善の医療には「科学的・医学的データ」「医師の専門性」
そして「患者さんの希望・価値観」の3つが必要と書かれています。
わたしたち患者、家族は3つの要素をどう考えればいいのか?
わかりやすい言葉で語っていただきます。
医療者のみなさんにも是非お聞きいただきたい講演です。
12日(日)午後1時30分~ 愛媛県総合保健協会9階会議室
事前申し込みは必要ありませんが、一般の方は500円の参加費が必要です。
ご参加をお待ちしています。
願いごと
2015年7月6日 10:27 PM
松山は雨が降ったりやんだりの一日。
朝晩は肌寒さを感じるほどで、7月に入った感じがしませんが
あすは七夕。
町なかサロンでも、今年も笹を準備しました。
来てくださった方に願い事を書いていただきます。
このブログで以前にも書いたことがありますが
わたしたちの仲間が、病院の笹飾りにこんな言葉を記しました。
”きょうも楽しく あすも楽しく”
緩和ケア病棟に入院中に書いた言葉です。
この数週間後に、小学生の息子を残して旅立っていきました。
わたしの願い事は何だろう?
心から願うことは、なんだろう?
毎年この時期に考えています。
町なかサロンの笹飾りは、来月7日まで。
願いごとを書きにお越しください!
らしく、働く
2015年7月5日 10:18 PM
きょうは九州、小倉へ行ってきました。
産業医科大学で開かれていた「第20回日本看護福祉学会学術集会」で
がん就労者支援をテーマにしたセッションに登壇させていただきました。
産業医、産業保健師、病院の看護師、そしてわたしが患者の立場から
仕事と治療の両立のための支援に必要なことについて発言し
会場の参加者と一緒にディスカッションを行いました。
国のがん対策推進基本計画に、「就労を含めた社会的問題」への取り組みが明記され
このようなテーマでの議論が活発になってきたことを感じます。
仕事を考えることは、生き方を考えることにつながります。
がんという病気を得てから仕事について考えるときには
一層深く考えることになります。
仕事を続ける場合も、新たな仕事を探す場合も
”らしく、働く”ことが大事。
この言葉は、厚生労働省のがんと就労の検討会の報告書に書かれているフレーズです。
場合によっては、仕事を辞める選択もあると思います。
それも含め、その人らしくいられるように
医療者だけでなく、さまざまな立場からの支援を期待するものです。
学会での議論が、5年後の患者への具体的な支援に確実に繋がりますように。
わたしたちの町なかサロンでは
毎月1回、就労支援セミナーを開催しています。
今月は25日(土)13時~15時
産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を持つ
わたしたちの仲間が、ご一緒に考えさせていただきます。
お気軽にご参加ください。
国のがん対策は誰のためのもの?
2015年6月20日 9:27 PM
きょうの横浜は快晴。
緩和医療学会学術集会の二日目です。
ゆっくりポスター会場を回りました。
新しい薬剤に関するものや、副作用対策などと並んで
認知症のがん患者の痛みの計測や、在宅療養の課題、
就労など社会的問題への対応など、多様なテーマが取り上げられていました。
学会ですから、医療者の取り組みであり、医療現場で取り組まれる事ではありますが
患者団体としての活動のヒントにつながる学びもあり
得るものの大きな2日間でした。
さて、あすは、おれんじの会のNPO法人としての総会です。
特別講演は『国のがん対策 ~過去、現在、未来へと~』と題して
医師で、元厚労省官僚の林昇甫先生をお招きします。
国のがん対策も、学会で発表される研究成果も
医療者や行政のものではありません。
わたしたち患者、家族を含む国民のためのものです。
どんな対策が取られ、これから何が変わろうとしているのか?
わたしたちは、どう関わっていくのか?
そうしたお話を聞く機会です。
講演は、どなたでも参加できます。
あす(21日)午後2時~ 愛媛県総合保健協会
ご参加をお待ちしています。
緩和医療学会
2015年6月18日 10:33 PM
出張が続いています。
先週は秋田~愛知~東京~福島を回りました。
その間、一滴の雨にもあたらず、晴れ女だ!と喜んでいたのですが…
今週火曜の東京からの帰りに、松山空港濃霧のため羽田へ引き返すという
どんでん返し(?)が待っていました。
自然だけはどうしようもないものです。
さて、あすから横浜で
第20回 日本緩和医療学会学術集会が開かれます。
http://jspm2015.umin.jp/
初日の朝一番のセッション
「ガチンコ勝負 どうすれば患者家族から苦痛やつらさを訴えてもらえる医療者になれるか」に
登壇させていただきます。
たくさんの仲間が、つらさを訴えられずに苦しんだこと。
逆に、医療者と十分に語り合い自分らしく過ごせた例。
こうした患者、家族の声をお伝えし、ディスカッションしてきます。
「がん登録」ってなに?
2015年6月8日 10:41 PM
きょうは秋田県横手市へ。
残念ながら、やきそばは食べられませんでしたが
稲庭うどんを使ったパスタをいただきました。
地元のおいしいものは、出張の疲れを癒してくれます。
さて、町なかサロンでの「夜の勉強会」のご案内です。
11日(木)午後7時~ がん登録についての勉強会を開きます。
来年1月から「全国がん登録制度」が始まります。
どんな情報が登録されて、それは何に活かされるのか?
基礎知識を学びます。
事前申し込みは必要ありません。
お気軽にお立ち寄りください。
”見送る”ということ
2015年6月7日 8:40 PM
ひさびさの食べ物写真。
秋田空港で食べた「きりたんぽラーメン」です。
やはり地元で食べるとおいしい…気がします。
あすは横手へ行きますので、横手やきそばが食べられるかな?
さて、地元での活動の報告です。
先週金曜は、八幡浜市で在宅緩和ケアの症例検討会に参加しました。
1つの症例をもとに、関わった医師、看護師、ケアマネージャーそれぞれが報告を行い
痛み止めの使い方、症状への対処法、精神的ケアなどについて意見交換を行います。
開業の先生方の診療が終わって、午後7時からの開催。
約1時間30分、活発な議論が続きました。
個人情報ですので、詳細は書きませんが
松山の総合病院でがん治療を受け、その後自宅へ戻って
家族に看取られて旅立ったケースが取り上げられました。
印象的だったのは、後日ケアマネージャーがご遺族から聞いたという言葉です。
「大変なときもあったけど、自分が見送ったという達成感がある」
病院だと、どうしてもケアの中心は医療者になります。
しかし、自宅だと家族が中心。
能動的に”見送った”という実感を得られるということかもしれません。
愛媛県内では、こうした在宅での緩和ケアの症例検討会が
八幡浜の他にも、大洲、今治、松山で開催されています。
わたしたちの町なかサロンでも
月2回、原則第2、第4金曜の午後に看護師の医療相談を行っていて、
在宅医療についての相談もお受けしています。
お気軽にご利用ください。
住んでいる地域に関わらず、望む場所で治療を受けながら過ごせること。
それが当たり前の社会になってほしいものです。
がん対策加速化プラン
2015年6月2日 11:07 PM
九州で梅雨入り。
いよいよ雨の季節です。
昨日は、厚生労働省が主催する『がんサミット』に参加しました。
この場で、塩崎厚生労働大臣から、
年内に「がん対策加速化プラン」を策定することがが発表されました。
”避けられるがんを防ぐ”ことを目指し、
「予防」「治療・研究」「共生」を3つの柱に取り組んでいくとのこと。
また、この場では、患者の代表として
グループネクサスジャパン理事長の天野慎介さんも基調講演をしました。
命をつなぐこと、そのために出来ること、すべきことについて
力強いメッセージが語られました。
がん対策基本法制定から10年。
わたしたち患者、家族も自分たちの問題をしっかり考え
医療者や行政担当者と共に、
よりよいがん対策を目指して役割を果たしていくことが求められています。