健康とは?
2012年1月15日 8:58 PM
昨日のセミナーにご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
遠い、寒い、長時間と三拍子揃った(?!)悪条件ではありましたが、とても内容の濃いセミナーでした。
特別講演をしてくださった細谷亮太先生の言葉でとても印象的なものがありました。
「健康ってなんでしょうか?治ったというのはどういう状態でしょうか?
病気になる前とまったく同じ状態になることを健康、治ったとするのは幸せなことでしょうか?
例えば、少し不自由なところが残ったり、出来ないことが増えたとしても
その中で、人生を楽しんでいくことはできるでしょう。
元通りになることに固執していることは幸せでしょうか?健康的でしょうか?」
細谷先生の日々と、小児がんに向き合う子どもたちの日々を描いたドキュメンタリー映画「『大丈夫。-小児科医細谷亮太のコトバー』は、今月末に1週間上映されます。
1月28日(土)~2月3日(金) 午前11時50分からの1回のみ (火曜休館)
松山市湊町のシネマルナティック です。
痛みとは
2012年1月11日 9:40 PM
出張先、仕事の最中に頭痛が襲ってきました。
終わってから慌てて薬を飲みましたが、吐き気を感じるほどの重症です。
ホテルはチェックアウトした後だし、喫茶店に入って休む気にもなれず、ともかく空港へ向かう事にしました。
空港にはクリニックがありますから、たどり着きさえすればなんとかなる。
電車で45分、この間に薬が効いてきて少し楽になりました。
事情を伝えて、飛行機の便を早める手続きをしたANAカウンターの女性が「もし辛くなられたら、いつでもおっしゃてください」と言ってくれた優しさに救われた思いでした。
ところで、がん患者はさまざまな痛みを抱えます。
まず、いわゆるがん性疼痛をはじめとする身体的な痛み。
不安などの精神的痛み。
経済的な問題や仕事のことなどの社会的な痛み。
そして、自分の存在価値などに関わる痛みで、これは専門用語では霊的な痛みと呼ばれます。
ともかく、まずはがん性疼痛を解消しようという考えがあります。
確かに、痛みがあると何も考えられなくなり気持ちまで落ち込みます。
薬剤などで緩和できるのであれば、十分な治療がなされるべきです。
日本での医療用麻薬の使用量は諸外国に比べて少なく、国内でも医療機関によって差があり、この問題は解決されなければなりません。
しかし、何が何でも体の痛みを取ることが最優先、というのは少し違うのではないかと思っています。
ある患者さんがこう言っていました。
「この薬を飲めば体の痛みは取れる。でもね、私にとっては、薬を飲む事の辛さは、体の痛みより辛い。そのことを医師や看護師はわかってくれないのよ」
患者ごとに、家族ごとに、またその時々にさまざまな痛みがあります。
医療用麻薬の使い方を学ぶ事は重要ですが、ひとつひとつの痛みに寄り添いながら丁寧に対応していく”思い”を持つこともまた欠かせないものだと思います。