偏見
2009年4月7日 8:37 PM
結核について、続きです。
きょうのワイドショーは、こぞってこの話題でした。
「結核」という病気について正しい情報提供をする必要はあると思いますが、それだけで終わらないのがワイドショー。
「私、先月番組収録で8時間ご一緒したんですけどぉ」と女性アナウンサー。
「もし感染しても発症するのは1割くらいですから」とゲストの医師に言われた時の安堵の表情と他の出演者の微妙な笑いは、見ていてとても不愉快でした。
病気は、その症状だけで十分辛いものですが、周囲からの眼は更に苦痛をもたらします。
がんも同じです。
おれんじの会の正式名称は「愛媛がん患者・家族会 おれんじの会」ですが、ここに「がん」という文字を入れるかどうかで議論になりました。
あまりハッキリ言わない方が…という意見あり、いや、だからこそ敢えて表記しよう!という声もあり。
結局、使い分けができるような表現になりました。
会員の中には、会からの郵便物の差出人に「がん」の文字は伏せてほしいという人がいるのが現状です。
まだまだ偏見は残っているのです。
がんだろうが、結核だろうが、病気は決して恥ずべきことではありません。
センセーショナルな話題として、半ば面白おかしく伝えているのを見ていて、胸が痛くとても悲しくなりました。
世の中には、結核治療が終わり社会復帰を果たしている人が大勢いるはずです。
その方たちが、どういう思いで昨日からの報道を見ているのでしょう?
結核
2009年4月6日 9:53 PM
来月発行する会報作成のため、この1年間の活動をまとめる作業をしています。
ずっとパソコンの画面を見ていたので、もう眼がショボショボです…。
ニュースで報道されている通り、お笑い芸人ハリセンボンの箕輪さんが結核で入院したそうです。
結核は昔の病気と思われがちですが、実は現在も一定数の患者が発症し続けています。もちろん有効な薬がありますから完全に治すことができ、必要以上に恐れる心配はありません。
ただ、一般の人だけでなく医療者も結核への関心が薄いのが問題なのだそうです。若い医師の中には、結核患者のレントゲン写真を見たことがなく見落としてしまうこともあると聞いたことがあります。
長く続く咳と微熱は要注意で、呼吸器専門医の診察を受けた方がよいそうです。
箕輪さん自身、突然の結核告知と入院で辛い夜を迎えていることでしょうね。
一日も早い回復を祈ります。
4月例会
2009年4月5日 8:37 PM
きょうはおれんじの会4月例会でした。
月に一度の開催で12回目、自由に語り合う交流会です。
参加者は36人。初めての方も数人いらっしゃいました。
その初めての方々からは、がんと向き合う上での不安や精神面のケアについて質問が出されました。
「心療内科を受診したいがどうすればいいか?」
「再発への不安をどう乗り越えればいいのか?」
他の参加者からいろいろなアドバイスが飛び出しました。
「毎朝、がんにおとなしくしてろよと語りかけ自分は大丈夫だと暗示をかける」
「同じ病気の仲間をたくさん作って笑ってやり過ごす」など…。
他には
「治療後休職しているが、そろそろ職場に戻ろうかと考えている。経験者がいれば助言を」という声に、
復職を果たした患者からは
「周囲に病気のことを積極的に話し理解してもらう必要がある。つい元気な人のペースに流されそうになるけれど、まず身体を大事にすることが大切」という意見が寄せられました。
途中、参加者の中には言葉を詰まらせる人もありました。この場へ来るまでずっと堪えていたものが溢れだしたようでした。
『泣く者とともに泣き、喜ぶ者と共に喜ぶ』そんな場でありたいと願っています。
初参加の方がいる一方で、しばらくお顔を見ない会員もあります。中には体調不良で出席できないと連絡を下さる方もあります。気にかかります。
来月は10日(日)開催予定です。
近いうちにHPでも案内を掲載しますので、ぜひご参加ください。
がん対策推進議員連盟
2009年4月4日 8:07 PM
松山は一日雨が降り続きました。
満開になった桜を濡らしています。
高知の患者会「一喜会」は、あすお花見だそうです。青空が戻ってくれますように。
おれんじの会は、あす例会です。みなさんお待ちしています!
愛媛県議会に「がん対策推進議員連盟」が誕生しました。
きょうの読売新聞に掲載されたようです。インターネットで記事を見つけました。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news/20090404-OYT8T00076.htm
県議会議員46人中45人が参加した超党派の議連です。
全国的にみても、県議会にがん議連があるのは数えるほどで、大変心強く感じています。
愛媛新聞では3月3日の社説で、この議連設立へ向けてこう書いています。
「患者らに寄り添い、国や県へ声を届けながら、限りある予算でいかに実効性を引き出すか。そうした役割も期待される。県民意識を喚起して対策向上に結びつけたい」
がん医療をよくしていくためにはそれぞれの役割があります。行政、医療者、患者・家族、マスコミ、そして政治。愛媛では、いまそれぞれの歯車がうまく噛み合って大きく動き始める音が聞こえてきたように感じています。
夏目雅子ひまわり基金
2009年4月3日 7:57 PM
きょう、2つのウイッグを発送しました。
行先は「夏目雅子ひまわり基金」。
白血病で亡くなった女優夏目雅子さんのご家族が創立した基金で、その活動の一つとしてウイッグのレンタルを行っているのです。
詳しくはhttp://www.himawari-kikin.com/top.php をご覧ください。
発送したウイッグは、ある患者さんからお預かりしたものです。
60代を超えていた方で、ご自分の髪の色に合わせて少し白髪の混じったとてもおしゃれなウイッグをお持ちでした。ご自分ではもう使わないけれど、どなたかの役に立ててほしいと、訪問看護ステーションを通じてご依頼をいただきました。
しばらくお預かりしたままにしていましたが、愛媛ではなかなかピッタリの条件の患者さんは現われそうにないので、「夏目雅子ひまわり基金」に贈ることにしたわけです。
私がウイッグを使っていた頃にこんな事がありました。
まだ治療の最中でしたが、外泊許可をもらい和食のお店へ出掛けました。白血球が下がっているので生モノはダメだと板前さんに伝えたところ、隣の席の女性も同じように生モノはダメと言っているのが聞こえてきました。見るとどうやらウイッグを使っているようで、あちらも私のウイッグをじっと見つめています。どちらからともなく声をかけました。
「もしかして…治療中ですか?」
その女性は白血病の治療中で、友人を訪ねて東京から松山へ来たとの話でした。あまりの偶然にビックリするやら、なんだか嬉しいやら…。
話を聞いてみると、ウイッグは「夏目雅子ひまわり基金」で借りたのだそうです。そういうシステムがあることを、その時初めて知りました。
当時、その女性は20代前半でした。いまごろは、どこかできっと元気になっていてテレビで夏目雅子さんの映像を見ることがあれば、闘病のことを思い出していることでしょう。
きょう発送したウイッグも、またどこかで誰かを支えてくれることを祈っています。
生き切る、生き抜こうとする力を奪わないで
2009年4月2日 9:01 PM
一冊の本が届きました。
タイトルは『山本孝史の記録』
自らもがんと向き合いながら国のがん対策基本法制定に向けて尽力し、一昨年亡くなった政治家山本孝史さんの活動について、妻ゆきさんがまとめたものです。
表紙は黒い背景に浮かびあがる山本さんの笑った横顔。鼻には酸素吸入のためのチューブが付けられていますが、とてもダンディな姿です。
中身は上下2段組みで800ページ、ずっしりと片手で持つのがやっとという重さです。
この中には国会での様々な質問も再現されています。
中でも、亡くなる半年前の参議院厚生労働委員会での質問。
「進行がん患者に対しても生き切るという姿勢をサポートしてくれる、あるいは生き抜こうとする力を奪わない、そういう医療や社会の体制をつくってほしい…」
自身の闘病、そして多くの患者・家族の声に真摯に耳を傾けた政治家だからこその揺らがない考えが記録されています。
これからじっくりと読んでいこうと思います。
仲間の病状
2009年4月1日 9:00 PM
松山では桜の満開宣言。
ビアガーデンもオープンしたそうです。
しかし…寒い!我が家のネコはストーブの前を離れません。
おれんじの会会員のひとりが緊急入院したと連絡がありました。
がん治療と何か関係があるのか不明ですが、脳梗塞の疑いです。
幸い、現在のところ四肢に麻痺はないと聞きひと安心しました。
患者会活動を始めたころに、仲間の病状変化を受け止めることの大変さを説いてくれた人がありました。
その人は既に別の患者会活動を長年経験していて、一番キツイのは仲間の病状変化だと言っていました。
がん患者・家族会ですから、みんなが揃って回復していく事は残念ながら望めません。
手術して元気になり音沙汰がなくなる人もいて、それは嬉しいことです。
しかし逆の知らせも勿論あり、そういう時は確かにキツイです。
医療者との壁を感じたり、予算が減らされることに憤ったり、溜息をつきたくなることはたびたびですが、仲間の病状変化は一番こたえます。
いまはただ回復を祈るばかりです。
桜の季節は別れのとき
2009年3月31日 8:44 PM
さきほど大阪から戻りました。
思わぬ花冷えで、期待していた大阪城の桜は三分咲き。
でも松山へ戻って石手川公園の近くを通ったらほぼ満開になっていました!
やはり桜はいいものですね。
会員専用掲示板に大西さんが書き込みして下さっている通り、『ドキシル』という抗がん剤が卵巣がんの治療薬として承認されることが決まりました。
早ければ来月にも患者さんの手元に届くことになります。
この承認には、患者会の積極的な取り組みが大きく影響しました。
詳しくはhttp://smiley.e-ryouiku.net/?eid=813237 をご覧ください。
さて、きょうは3月31日。
定年や異動などで職場を去る方も多いことと思います。
四国がんセンターの院長 高嶋成光先生も定年を迎えられました。
医師人生の大半を四国がんセンターで過ごし、また日本のがん対策についてもあらゆる場で発言を続けてこられました。
先日、愛媛新聞に掲載された記事によれば、病院の名称が「がんセンター」に変わるときに、それまでヘビースモーカーだった先生はスッパリ禁煙したそうです。
以来、ずっとがんと向き合ってきた高嶋先生。お疲れさまでした。
そしてこれからも愛媛のがん患者・家族のために力を貸してください。
あなたに伝えたい ほんとうの緩和ケア
2009年3月28日 10:23 PM
きょうは、大阪で開かれた緩和ケアの学習会に参加しました。
『大阪がん医療の向上をめざす会』が主催する初めてのセミナーです。
『・・・めざす会』は、大阪を中心に活動している8つの患者団体の関係者が運営している会です。
セミナーの講師は、緩和ケアに携わる医師や専門看護師など4人。
緩和ケアの概念や地域で支える緩和ケア、こどもたちへのケアの必要性、患者自身ができる緩和ケアへの取り組みなどについて講演があり、その後は参加者とのディスカッションとなりました。
この中で基調講演を務めた市立豊中病院の林昇甫医師の話が印象的でした。
がん治療と緩和ケアの目標はQOLの向上という点で一致しており、互いに補い合う関係にあり、目指すべきは治療と同時に緩和ケアを実践する包括的がん医療である、という点です。
がんの疑いで検査を始める時点から、緩和ケアは必要かもしれないと林医師は言います。ここまで言及してくれた医師はこれまでいませんでした。
参加者からは、現在治療を受けている病院で十分なケアを受けられない辛さを訴える意見もあり、また医療者と患者・家族との意識のズレへの指摘もありました。
医療者も患者・家族も、緩和ケアに向き合い始めたばかりです。こういう議論の場がたびたび設定され、互いに意見交換するところから何かが生まれてくるのでしょう。
近いうちに愛媛でも、患者主体の緩和ケアを学ぶ場を作りたいと思います。
ピアサポート
2009年3月27日 10:47 PM
嬉しいご報告です。
正力厚生会が、がん患者団体の様々な活動に対して助成を行う制度に応募していたところ、審査を経ておれんじの会が助成団体に選ばれました!
きょうの読売新聞に記事が掲載されていたそうですが、残念ながら知ったのは夜になってからで新聞を買いに行くことができず、ネットで調べても詳細は書かれていないので、厳密には「選ばれたらしい」という報告です。スミマセン。
おれんじの会が応募した取り組みは「ピアサポーター養成事業」です。
「ピア」とは仲間という意味です。つまり仲間による支援、がんを経験した仲間同士で支えあう仕組みです。
がん対策の中で、「ピアサポーター」の取り組みは注目されていて、すでに全国では積極的に活動が展開されているところが多くあります。
この活動については、詳しい内容や開始時期などを改めてご案内します。
私が入院していた時、たくさんの仲間に支えられました。恩返しがしたくても、残念ながらほとんどの方が既に天国へ旅立ってしまいました。
受け取ったたくさんの力を、次に伝えていきます。