夏の思い出
2008年7月18日 9:21 AM
愛媛でも高校野球の県大会が行われています。
9年前、私が入院していた病院のすぐそばに松山市民球場があり、そこが高校野球の舞台でした。
7月半ば、手術後の回復のため院内を歩くことを日課としていて、外来患者さんがいなくなった頃を見計らって、2階の病棟から渡り廊下を通って外科外来の突き当たりまでが、お決まりのコースでした。
突き当たりは全面ガラス張りになっていて外が見えます。そして球場から歓声が聞こえてきます。”普通の”世界に触れられる場でした。
手術の傷と体力は、まだ33歳という若さもあって日に日に回復していきます。しかし、病理結果を待つ心は晴れることはありませんでした。
待ちに待った病理結果が届いたのは、術後11日目。悪い予感は当たり抗がん剤治療が必要だと言われました。ナースステーションで説明を受け部屋へ戻ると、隣のベッドの患者さんが起きて待っていてくれました。結果を伝えると、カーテン越しに一緒に泣いてくれました。
9年が経ち、球場も病院も移転しました。私は再発もせず元気に暮らしています。でも、高校野球のニュースを見ると、あの古い病院の暗い廊下と泣いた夜を思い出すのです。