ただマイヨ・ジョーヌのためでなく
2008年6月20日 9:35 AM
きょうは本のご紹介です。
「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」ランス・アームストロング著
マイヨ・ジョーヌとは、自転車レースで1位になった選手だけが着られる栄光のジャージです。著者は、ツール・ド・フランスやオリンピックなどで活躍した世界的な自転車競技の選手です。’96年、25歳で睾丸がんが見つかります。しかも既に脳と肺に転移していました。医師が、助かる見込みは3%しかないと診断するほど厳しい状況でした。しかし、彼は厳しい闘病生活を乗り越えます。手術・抗がん剤治療を経て、’99にツール・ド・フランスで個人総合優勝し、自転車競技の選手としても見事に復活を遂げます。更に、治療前に精子銀行に預けた精子によって息子も授かりました。
本の中では、浮沈を繰り返す気持ちが正直に書かれています。”いつも前向きに希望を持ち続けて”いたわけではありません。絶望、恐怖、不安に苦しんでいます。その果てに彼は復活するのです。そしてこう書いています。「断言していい。がんは僕の人生に起こった最良のことだ」
ランス・アームストロングは、現在は自転車競技から引退し、がん患者を支える様々な活動を展開しています。
私の手元にある本は2000年8月発行の第1刷分です。黄色い表紙は色あせています。ちょうど自分の手術から1年後に買ったもので、あちこちに付箋が貼られ繰り返し読んだ跡が残っています。
講談社から今月、文庫としても出版されています。