「選択療養制度(仮称)」の創設に反対します
2014年4月20日 12:10 PM
現在、政府の規制改革会議で「選択療養制度(仮称)」の創設に向けての議論が進んでいます。
これは、いわゆる「混合診療」の大幅な拡大を目指すものです。
この問題は、19日付け愛媛新聞でも
「日本の医療の針路を見失うな」と題して、国の姿勢を厳しく問う社説が掲載されました。
わたしたちおれんじの会では他の22のがん患者団体と連名で、
制度創設に反対する要望書を4月15日に提出しました。
長くなりますが、以下に要望書の全文を掲載します。
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厚生労働大臣 田村憲久様
内閣府特命担当大臣 稲田朋美様
国会議員の皆様
「選択療養制度(仮称)」の創設に関する要望書
平素よりがん対策の推進にご尽力いただき、がん患者および家族の立場より御礼を申し上げます。
ご承知のとおり、平成26年3月27日に開催された内閣府の規制改革会議において
「選択療養制度(仮称)」の創設が提案されました。
同制度は「一定の手続きやルールに基づき、患者が自己の選択によって保険診療と併せて受ける保険外診療」であり、
「患者・医師間の診療契約書を保険者に届け出ることで保険給付が行われるようにする」などどされています。
海外で標準的に用いられている治療薬が日本でも早期に承認されること、いわゆるドラッグ・ラグの解消は、
新たな治療薬を求めるがん患者や家族の切なる声であり、
がん患者団体はその解消を求める制度改正等を求める要望活動を行ってまいりました。
そうした要望に対して、必要な治療薬が早期に承認されるための取り組みや制度改正をしていただき、
少しずつ使える治療薬が増えていることに御礼申し上げます。
しかし、新たな治療薬については、科学的根拠に基づいた有効性や安全性の担保が不可欠です。
また、日本のいわゆる国民皆保険制度は、がん患者や家族が安心して保険診療に基づくがん治療を受けるための
いわば命綱となるものです。
今回提案されている選択療養制度については、科学的根拠に基づく有効性と安全性が担保されない自由診療の放任や、
国民皆保険制度のなし崩し的な空洞化につながりかねないと考えられます。
わたしたちがん患者団体有志一同は、以下の要望をいたします。
・有効性や安全性の担保されない自由診療の放任や、国民皆保険制度のなし崩し的な空洞化につながりかねない
「選択療養制度(仮称)」の創設に反対します。
・先進医療制度の見直しなど、科学的根拠に基づく有効性と安全性が担保された治療薬が、
早期に承認されるための取り組みや制度改正を引き続き行うことを要望します。
・がん患者や家族が安心して保険診療に基づくがん治療を受けられるよう、
国民皆保険制度を堅持するための取り組みや制度改正を引き続き行うことを要望します。
以上
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