自分らしさを取り戻すために
2016年6月7日 8:30 PM
がんの告知を受けたのは、1999年の6月でした。
梅雨に入っていたはずですが
その日は、真夏のような強い日差しだったことを覚えています。
17年も経って、いまだに6月は苦手です。
手術、抗がん剤治療と足かけ5か月の治療が一段落し
退院した直後のわたしです。
しまなみ海道へドライブに行ったときの1枚。
ウイッグの上に帽子までかぶっています。
ぎこちない笑顔です。
この頃は、抜けてしまった眉毛やまつげをメイクで補い
ウイッグの角度を決めて出かけるのに、ずいぶん時間がかかっていました。
どうしたって、元の自分の顔にはならない。
それは、病気が見つかる前の自分には戻れないことの象徴。
病気そのものとの闘いから
変化を受け入れ
自分らしさを取り戻してていくための静かな闘いの最中でした。
**********************************************************************
外見の変化を整えることは、自分の気持ちを整えること。
町なかサロンでは、12日に「メイクアップセミナー」を開催します。
病気やケガなどで外見が変化した人へのメイクの専門知識を持つ方を講師に
肌色のカバーの仕方や、眉毛の描き方などを学びます。
実際に脱毛などを経験したピアサポーターも参加します。
メイク技術を学ぶだけのセミナーではありません。
自分自身の変化に向き合うことについて
同じ経験をした人同士で語り合うことも、大事にしたいと思っています。
12日(日)13時~15時 途中の出入りもOKです。
ご参加をお待ちしています。
仲間がいる場所
2016年5月30日 9:40 PM
「町なかサロン」を開設したのは2012年7月でした。
松山市内中心部に、常設で、患者さんやご家族が気軽に立ち寄れる場所を作りたいという
わたしたちの思いに、愛媛県が補助をしてくださり実現しました。
入口近くにシンボルツリーとして置いたのは、フェイジョアという木です。
西日をまともに受け、排気ガスも多い過酷な環境ながら
4年間堪えてくれています。
そして、今年は花を咲かせてくれました!
直径3センチほどの花です。
毎日世話をしてくれている事務スタッフの話では
昨年も一輪だけ咲いていたそうですが、今年は十数輪!
調べてみると、実もつけるそうで楽しみです。
町なかサロンを運営している「おれんじの会」は
毎月1回続けてきた例会が、この夏に100回を迎えます。
私たちが最初に掲げたメッセージは
「あなたはひとりではありません。
ここには、不安、悲しみ、苦しみを分かち合える仲間がいます。
一緒に歩いていきましょう」 でした。
町なかサロンでは
月曜、水曜、金曜の10時から15時まで
仲間であるピアサポーターがお待ちしています。
季節の花も迎えます。
どうぞお気軽にお立ち寄りください。
薬局とのつき合い方
2016年5月11日 9:37 PM
ここ数日雨が続き
きょうは、5月とは思えない肌寒い一日でした。
さて、次の日曜 15日に勉強会を開催します。
今回のテーマは「かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師」です。
今年春の診療報酬改定で
「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」の制度がスタートしました。
患者の服薬状況を適切に管理し、病気に関しての相談にも応じるよう求められています。
わたし自身もそうですが
受診した医療機関の前にある薬局を利用することがほとんどで
複数の医療機関へ行けば、それぞれの近くの薬局へ足を運びます。
お薬の管理はバラバラになり、薬剤師さんと話をすることもなく帰っていました。
後になって、「この薬の副作用は?これとこれを一緒に飲んでいいの?」と不安になっても
それを確認することはできませんでした。
「かかりつけ薬局」「かかりつけ薬剤師」を
わたしたちはどのように活用すればいいのかを学ぶ勉強会です。
講師は、愛媛県薬剤師会の宇田雅実先生です。
とてもわかりやすくお話してくださいます。
5月15日(日)午後1時30分~
愛媛県総合保健協会9階会議室で。
どなたでも参加できます(一般の方は参加料500円が必要)
お待ちしています!
がん対策のために声をあげよう!
2016年4月25日 5:22 PM
いまから10年前、「がん対策基本法」という法律が成立しました。
それは”救えるいのちを救う”という願いから始まったことでした。
自ら、がんであることを公表し国会で演説を行った
民主党(当時)の山本たかし議員の演説です。
法律成立から10年が経過し、見直しの動きがあります。
国会がん患者と家族の会という議員連盟が改正案を取りまとめ
今国会での可決、成立を目指しています。
それに先立ち、現在、広く国民の意見を取り入れるための
パブリックコメントの募集中です。
http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/index.html
5月6日が締切です。
「法律なんて難しくて、わからない」と言わないでください。
日本人の2人に1人ががんと向き合う時代。
誰にとっても他人事ではない問題への対策の根幹となるのが
この基本法です。
改正案を読み、「あれ、ちょっと気になる」と思う事を意見として書いてください。
”救えるいのちを救う”
医学が進歩したといわれる現在でも、治療法が少なく厳しい状況にある
難治がんや希少がんへの対応は十分でしょうか?
患者は病院の中だけで生きているわけではありません。
社会の中で暮らしていく患者とその家族への支援はどうでしょうか?
10年ぶりに、わたしたちの声を届ける貴重な機会です。
声を上げましょう!
熊本にお住まいの患者、家族のみなさんへの情報
2016年4月18日 4:17 PM
宮城へ出張しているときに、地震の第一報を聞きました。
あれから4日。
被害の大きさに言葉がありません。
熊本は大好きな街。
何とか揺れが収まってくれるようにと祈るばかりです。
さて、全国がん患者団体連合会では
被災地域のがん患者、ご家族のために
治療や療養に関する情報を収集し、HPでお伝えしています。
http://zenganren.jp/?p=670
今後も新たな情報が入り次第、公開していく予定です。
大変な混乱の中、少しでも役に立てばと願っています。
これからの医療を担う人たちへ
2016年4月8日 9:47 PM
4月。
桜にばかり目を奪われていましたが
すでに、あちこちで緑が鮮やかになり始めています。
梅の木には、もう実がなっていました!
毎年この時期には、愛媛県立医療技術大学で
臨床検査学科の学生さんに講義をさせていただいています。
臨床検査技師が患者と直接関わる機会も増えてきている中で
患者や家族の思いを知り、
医療現場で働くことの意味を考えてもらうことを目的としています。
今年で5年目になります。
わたし自身の経験と、愛媛で行った「がん患者満足度調査」の内容を伝え
わたしたちの仲間が、これからの医療者のために残したDVDメッセージを
観てもらいます。
そのうえで、グループに分かれて
患者にどう声かけをするかを考え、発表してもらいます。
患者の不安に、どうすれば寄り添えるのかを
懸命に考え、議論している様子を見ていると頼もしさを感じます。
大学の臨床検査学科で、患者や家族の心理について
当事者を講師に学んでいるところは殆ど無いと聞きます。
患者や家族にとっては、医療機関で接する白衣の人は同じです。
ちょっとした仕草や、一言の声かけが不安を和らげることもあれば
その逆もあるわけです。
きょう、クラスの仲間と議論したことを
医療現場に出ても忘れないでいて欲しいと願っています。
”町なかサロンウイーク”
2016年3月27日 9:57 PM
ブログ更新を怠っている間に、もう桜の季節を迎えてしまいました。
今年は花冷えが続いていて、少し長く花を楽しめそうです。
きょうから”町なかサロンウイーク”です。
特別企画を連続して実施します。
第一弾として、きょうは映画の上映会を行いました。
作品は『希望のちから』。
ハーセプチンが誕生するまでを、実話に基づいて描いた作品です。
患者を助けたいという医師の思いと
新しい治療に賭ける患者と家族の願いが伝わってきます。
わたしが使った抗がん剤も、
誰かが開発し
誰かが臨床研究に参加してくれたおかげで手にできたということに
改めて感謝の思いでいっぱいになりました。
あすからも様々な企画が続きます。
●28日(月)18時~20時
「大切な人を見送った方のためのサロン」
●29日(火)13時~15時
「治療後のフォローアップ ~検査と暮らし~」
●31日(木)13時~15時
ムジーカ倶楽部歌声がかり ミニコンサート
●4月1日(金)13時~15時
医師による医療相談
詳しくはトップページのチラシをご覧ください。
ご参加をお待ちしております!
切れ目のない緩和ケアとは?
2016年3月6日 9:37 PM
松山では最高気温が21℃を超えたそうです。
夜になっても暖房が要らない暖かさで、びっくりぽんです。
昨日、きょうと緩和ケアを考えました。
昨日は医療者対象のセミナーで、テーマは「診断時からの緩和ケア」
患者の立場からディスカッションに参加させていただきました。
国の「がん対策推進基本計画」の中に
”診断時からの緩和ケア”という文言が盛り込まれていますが
一部の医療者の中には、緩和ケアが必要なのは病期が進んだ患者だけという意識が
まだまだ根強く残っています。
そこで、日本緩和医療学会が主催し
”診断時からの緩和ケア”とはどういうものか、どう提供すればいいのかを
考えるセミナーを開催したものです。
患者、家族が抱える辛さはさまざまです。
体の痛みはもちろんですが
再発への不安、死の恐怖、社会から切り離されていく孤独感…。
置かれている環境、人間関係などにも左右され
病期だけで線を引いて軽重を言えるものではありません。
だからこそ、がんと診断されたときから
本人が必要だと感じたときには、いつでも
辛さを訴え、それを緩和してもらえることが重要です。
そのためには、最初が肝心。
診断し、最初の治療を行う医師(多くの場合は外科医)が
緩和ケアの重要性を理解し、「辛いことはありませんか?」と声をかけてくれるだけで
その後の病気との向き合い方はずいぶん違ってくると思います。
昨日のセミナーの参加者120人あまりの半数は
がん治療医だったと聞きました。
治療医からの発言がほとんど聞かれなかったのは残念でしたが
少しずつでも、”診断時からの緩和ケア”が進んでいくよう願っています。
そして、きょうは在宅での緩和ケアを考える市民公開講座でした。
大切な時間を自宅で過ごすことを選んだ患者に寄り添う緩和ケアには
高い専門性が求められます。
愛媛県内で、患者、家族の思いを十分に聴き取り、寄り添う医療を提供している報告を聞き
希望を感じることができました。
いろいろなところで、さまざまな角度から
患者と家族を支える緩和ケアのあり方が考えられています。
それぞれの成果も見えるようになってきました。
しかし、何かが足りない。
診断され、治療を受けて、場合によっては大事な時間を自宅で過ごす。
その間の「切れ目のない」ケアが見えてこないのです。
ここが、次の課題だと感じています。
切れ目のないケアを受けるためには
患者と家族が、どう病気に向き合うかを考えることも重要。
医療者と、わたしたち当事者が共に考えていくことが
より一層大事な時期にきていると感じた2日間でした。
愛媛で進む在宅緩和ケア
2016年3月2日 11:15 AM
3月に入った途端に気温が下がり、今朝も布団を出るのが辛いほどでした。
でも日中の日差しは日増しに力強くなってきているようです。
さて、次の日曜 3月6日に在宅緩和ケアについて考える市民公開講座が開催されます。
特別講演は金子稚子さん。
2012年に41歳で亡くなった流通ジャーナリスト 金子哲雄さんの妻です。
金子さんは、病気と向き合いながら最後まで自分らしくあることを大事にし
自宅で稚子さんのサポートを受けながら仕事も続け
葬儀や墓地、自分がいなくなった後の妻の生活も準備を成し遂げ旅立ったそうです。
妻から見た在宅緩和ケアのお話です。
前半には、愛媛県内で進んでいる在宅緩和ケアモデル事業の報告があります。
今治、松山、大洲、八幡浜の各地域で
地域性に合わせた取り組みが行われ、それぞれで成果があがっています。
どのような取り組みが行われているのか、
わたしたち患者家族は、在宅での療養を願うときにどう利用すればいいのかを学ぶ
貴重な機会です。
3月6日(日)午後1時~ 松山全日空ホテル南館
参加は無料で、事前の申し込みも必要ありません。
詳しくは、トップページのチラシをご覧ください。
八幡浜での初サロン
2016年2月28日 9:21 PM
最高気温が16℃を超え、春を感じる一日でした。
きょうは、愛媛県の南部 八幡浜市で初めての「出張サロン」を開催しました。
八幡浜医師会のご協力と、地元の医療関係者の方がボランティアでお手伝いくださり
実現に漕ぎ着けました。
大切な人を見送った方のためのサロンを開催。
7人の方が参加してくださいました。
町なかサロンでも、ご遺族のためのサロンを定期的に開催しています。
涙が溢れて止まらない方。
他の人の話をじっと聞いている方。
自分なりに気持ちを整えて、やっと笑えるようになった方。
参加した方の数だけ、喪失感や後悔、悲しみがあります。
涙が溢れる方の背中に、隣に座った方がそっと手を置いたり
一緒に涙を流したり、時には笑ったり。
同じ経験をした仲間として
自分だけじゃないと思える場所を、これからも各地で作っていきたいと願っています。