伯父の伝言
2009年12月8日 11:17 PM
今夜、仕事が終わって遅い時間に帰宅すると、留守番電話に伯父からの伝言。
「畑で採れたジャガイモとみかんを送るから。寒くなったけど風邪を引いてないか?心配してるよ」
伯父は亡父の兄です。
父が生きてくれたらこんなふうに心配してくれるのでしょうか。
こんな声で、こんな話し方で、仕事で遅く帰ってくる娘をたしなめてくれるのでしょうか。
疲れてるのかな。涙が止まりません。
体験者の声
2009年12月6日 10:39 PM
きょうは、20回目の例会でした。
なのに!私は欠席…。
うっかり高松での講演を引き受けていて、例会の日とダブルブッキングだったというお粗末。
後ろ髪を引かれながら、朝のJRで高松へ。
きょうの講演は『香川県検診受診率向上プロジェクト』のプログラムの一つです。
このプロジェクトは、香川県と地元企業7社が協働で行うという全国的にみても新しい取り組みです。
この中で、がん体験者としてお話をさせていただきました。
私のほかにも、もう一人体験者のお話がありました。
大阪にお住いの改發(かいはつ)厚さんという方です。
精巣腫瘍との、まさに壮絶な闘病記録を聞かせていただきました。
再発、再再発を繰り返す中で、恐ろしいほど過酷な治療に耐え見事にサバイブしている姿は本当に勇気を与えてくださいました。
また、支えたご家族やお仲間との話も素晴らしかったです。
改發さんはHPを開設しています。
http://www.geocities.jp/seisoushuyou/hirapan.htm
きょう例会に参加した会員さんからメールが届きました。
手術・退院から間もない方です。
「素直に胸の内を明かせる会 参加してよかった」
そう言ってもらえてよかった。
仲間だからこそ分かり合えることがあります。
少し先を行く体験者の声が、誰かの勇気につながることを願って、これからも活動を続けていきます!
20回目の例会!
2009年12月5日 8:43 PM
ここのところ、お天気が一日おきに晴れと雨の繰り返しです。
きょうは午後から雨でした。
さて、あすはおれんじの会の例会です。
20回目です~!
去年5月に第1回例会を開いて以来、毎月1回続けてきました。
毎回参加してくださる方に支えられての20回です。
12月例会は正会員限定です。
ハンドベルやコーラスの演奏もありますのでお楽しみに。
会場がいつもとは異なります。
案内状でも説明している通り、東雲高校の100周年記念館研修室をお借りしています。
入口がちょっとわかりにくいですから、地図をよく見てお越しください。
あすは予報によると晴れそうです。
でも冷え込むようですから、くれぐれも暖かくしてお出かけくださいね。
バイキンマンのばんそうこう
2009年12月4日 8:38 PM
高校時代の同級生が、松山市内のある小学校でPTAのお世話役をしています。
彼の紹介で、来年1月に保護者の方を対象にお話をさせていただくことになりました。
その打ち合わせに行ってきました。
演題は『がん患者からのメッセージ~大切な家族のために知っておきたいこと』
自分自身の体のこともそうですが、妻や夫、そして子どもたちのいのちを守るために知っておいてほしいことをお話する予定です。
そんなわけで、小学校というところへ本当に久しぶりに行きました。
休み時間になわとびをしている風景や、給食の匂い…。
ちょっとノスタルジックな気分になりました。
話変わって。
数日前、テレビでこんな話題を伝えていました。
高知県のある町で、やなせたかしさんとの縁で建てられたバイキンマンの像の角が壊されてしまったそうです。
その事を知った町の人たちから修復にと募金が寄せられているという話題。
それだけでもちょっといい話なのですが、私がこころ和んだのは、壊されたバイキンマンの頭に大きなばんそうこうが貼られていたことです。
優しさと、ちょっとユーモアが感じられます。
きっと壊されているのを見たときには悲しかったり怒ったりする気持ちがまず起こったと思いますが、それを優しさとユーモアに換えた人のこころの広さ!
何だかとても温かい気持ちになりました。
上智大学名誉教授で、死生学を日本に広めたアルフォンス・デーケン先生は「にもかかわらず、笑う」こと、ユーモアの大切さをいつも語っていらっしゃいます。
どんなときにもユーモアを忘れない。
そうありたいなぁ。
出来ないこと、できること
2009年12月3日 8:53 PM
きょうは午前中に2人の患者さんと、1人のご遺族に会ってきました。
患者さんのうちのお1人は再発の治療中、もうお1人は治療の副作用で緊急入院した方です。
どちらも、訪ねると笑顔で迎えてくださいました。
身体がしんどいはずなのに。
ご遺族は、今年秋に母親を見送った20代の女性です。
残された家族の世話を懸命にこなしているようでした。
とても頑張っているけれど、「この悲しみってず~っと消えないんでしょうね」とうつむく姿は本当に頼り無げでした。
どうしようもない辛さに向き合っている人に対して、何も出来ない現実に向き合わなければなりません。
何かが出来ると思うこと自体、思い上がりですね。
そして夜は、来年開催する『リレーフォーライフin愛媛』の準備会へ。
自分に出来ることを、出来る範囲でひとつずつ。
すべての女性のために
2009年12月2日 8:53 PM
きょうもよく晴れた一日でした。
松山城のある城山の紅葉の美しさが際立つ青空でした。
さて。
『HIV』は多くの方がご存知だと思います。AIDS発症の原因となるウイルスです。
では一文字違いの『HPV』はどうでしょうか?
ヒトパピローマウイルスの略で、子宮頸がんの発症と関わりがあります。
「えっ?子宮頸がんってウイルスが原因?!」と疑問を持った方は
http://allwomen.jp/ をご覧ください。
ウイルスや子宮頸がんの事がとてもよくわかるサイトです。
私が子宮頸がんの告知を受けた10年前には、「ウイルスが原因という説もある」という程度の情報しかありませんでした。
しかし、その後研究は大きく進みました。
100種類ほどあるといわれるHPVの中で、どの種類ががん発症に関わっているのかがわかってきました。
ウイルスですから、インフルエンザと同じでワクチンである程度予防できることも証明され、そのワクチンも開発されました。
世界の多くの国で既に予防接種が行われています。
日本でも今年10月に承認されました。
残念ながら私には間に合いませんでした。
でも、現在、子宮頸がんは「予防できるがん」になったのです。
現在を生きる女性には、手段があるのだから予防して欲しい!と切に願います。
若いときに子宮を失うということは、子どもを持つ可能性を失うことです。
私は病気になる前には”産まない”ことを選択していました。でも病気で”産めない”身体になったとき、目に映る風景は大きく変わりました。
すべての女性に知ってほしいのです。
子宮頸がんは予防できるがんなのです!
子宮を失うだけでなく、残念ながら旅立っていった仲間の思いも共に、このメッセージを伝え続けようと思っています。
家族を支える
2009年12月1日 9:39 PM
師走です。
昼間はぽかぽかと暖かくまだ秋という感じですが、夜になると松山市中心部ではイルミネーションが灯され、一挙に年末の雰囲気が盛り上がってきました。
我が家も玄関だけはクリスマスの飾りつけをしました。
でも、それを楽しんだのは飾り付けをした日だけ。バタバタの毎日です。
おれんじの会で取り組んできたがん患者の家族を支援する事業が、いよいよ大詰めを迎えています。
家族向けの情報を集めた小冊子はまもなく印刷が出来上がり、家族向けセミナー「家族塾」の開催は20日(日)に迫りました。
今夜も、そのためのスタッフ会議でした。
スタッフは全員家族としてがん患者を支えた経験を持っています。
でも、その迷いや苦しみの中身はさまざまです。
この事業の取り組みを通して、他人の痛みに共感することの難しさを思い知りました。
でも、だからこそ、この事業は必要なんだと思っています。
周囲に理解してもらうことが難しい家族の苦しみ。そのことを誰より知っている経験者だからこそ、他の人より少しは近くに寄り添えるはずです。
私たちの思いが、いま苦しんでいるご家族のもとに届きますように。
「伴走者」からの伝言
2009年11月30日 11:18 PM
きょうから愛媛新聞でがん関連の連載が始まりました。
タイトルは「がん患者学講座 『伴走者』からの伝言」です。
患者・家族を支える医療者などからの励ましや道しるべとなるメッセージ、です。
『伴走者』ということばがいいですね。
先を行くコーチではなく、横を一緒に走ってくれる伴走者。
そういう存在を持てるかどうかで、厳しい治療の日々の過ごし方は大きく変わります。
きょうからの連載記事が、『伴走者』になってくれることを期待しています。
パソコン依存
2009年11月29日 8:11 PM
松山は雨が降っています。
ここ数日パソコンに向かって原稿を書いています。
「がん患者家族が求めるがん地域連携への視点」がテーマです。
来年春出版予定の本の一部に、患者・家族の視点で原稿を書くよう依頼をいただいたものです。
12,000字。締切は12月21日。
予定で埋まるカレンダーの余白を見ながら、少し、いやかなり心配になってきています。
その心配もあってか、昨夜はパソコンが壊れるイヤ~な夢を見ました。
実は去年12月、突然パソコンが壊れ大変な思いをしました。
大事な情報はバックアップを取ってあったものの、とにかく仕事が何もできないのです。
誰かと連絡を取ることも、書類を作ることも、当然ネットもダメ。
新しいものを買うまでのわずか3日ほどの不便と、そこからくるストレスは相当なものがありました。
いかに日常生活でパソコンに依存しているかを思い知ったのでした。
締切を前にパソコンが壊れたらお手上げです。
あ、でも締切を守れない言い訳をそのせいに出来るかも?
いやいや、そんなに出版社は甘くはありません。
さぁ、埒もないことを考えていないで原稿書きを再開しましょう。
未来の看護師のために
2009年11月28日 7:27 PM
隣家の庭でたわわに実っていた柿の実が採り入れられていました。
枝には実が一つ。
一つだけ残すのは、確か、豊かな実りに感謝して野鳥のためにだと聞いた覚えがあります。
昔からのやさしい気持ちを受け継ぐ隣家の風景に、こころが温かくなりました。
きょうは愛媛大学医学部看護学科の学生たちに会ってきました。
卒業研究に協力するためです。
テーマは「化学療法における脱毛による心理的・社会的影響とその対処」
抗がん歳治療で脱毛した患者がどんな気持ちになり、社会生活にどんな影響が生じるのかを知り、今後医療者としてどのようなケアができるのかを検討するのだそうです。
髪が抜け始めたときの光景、ここまでの治療をしなければ治らない病気なのだと思い知った日、退院して自宅の洗面所の鏡に映った自分の姿を見て声をあげて泣いた時…いろいろな事を思い出しました。
学生たちとの1時間ほどの話の最後に、「脱毛に関して社会に望むことは何ですか?」と聞かれました。
髪が抜けていても、そのまま街を歩けるような社会であってほしい、と答えました。
髪が抜けていても、薬疹で皮膚がぼろぼろになっていても、顔に大きな傷跡が残っていても、それを患者本人が恥ずかしいとか惨めだとか思わないで済む社会。
外見の変化は病気と向き合った勇気の証だと認めてくれる社会。
そんな世の中になればいいと願っています。
今回の学生たちの研究には、おれんじの会会員で脱毛を経験した7人の患者さんが協力してくれました。
その経験を語る事は決して楽しいことではありません。
でも、未来の看護師のために、ひいては後に続く患者のためにと引き受けてくれました。
その気持ちに敬意を表します。
そして脱毛をテーマに選んだ5人の学生たちが、キレイ事だけでは済まない現場に出てからも、患者さんたちから聞いた生の声を時に思い出し心ある看護にあたってくれることを期待します。
頑張れ、未来の看護師!