在宅での緩和ケアを考える
2014年2月22日 11:32 PM
きょうは、愛媛県で取り組んでいる「在宅緩和ケア推進モデル事業」の会議に出席してきました。
県内の今治地区と大洲地区で、それぞれの特性を生かしたモデル事業が行われています。
そのうちの大洲地区の症例検討と運営委員会です。
山間部で、がん診療連携拠点病院が未整備の大洲地域。
喜多医師会と熱意ある地元の医療者の方々が中心になって、
家で過ごしたいと希望する地元の患者さんの緩和ケアに取り組んでいます。
モデル事業が始まって1年半で、30人近い患者さんのケアにあたってきました。
きょうの会議で話題になったのは、いかに患者さんとご家族のお気持ちを聞きとるか?ということでした。
病気について、治療医からどのように説明を受け、どう感じているのか?
なぜ家に帰りたいのか?
帰って、どのように暮らしたいのか?
こうした基本的なことを、本当に患者さんとご家族から聞き出せているのか、
希望を聴き、それに寄り添うことが在宅緩和ケアのスタートだという話でした。
疾病にかかわらず、入院日数は短縮化されています。
厚労省は大幅な病床削減を打ち出し、さらに早期退院を促す計画ですし
この春からの診療報酬改定はまさに「在宅シフト」です。
「住み慣れた地域や自宅で自分らしく」というのが謳い文句ですが
本当に誰にとっても在宅が最高の場所なのでしょうか?
わたしたち患者・家族にとって
本当の希望に耳を傾け、揺れる思いに寄り添いながら、適切なケアを提供してくれる体制が整ってはじめて、
「自分らしく」過ごすことができるのです。
家に帰りさえすればいいということでは決してありません。
愛媛で始まったモデル事業。
きょうの会議には、週末にもかかわらず
医師、訪問看護師、調剤薬局の薬剤師、ケアマネなどが参加していました。
この取り組みが、今後の在宅緩和ケアの充実につながることを期待しています。
で、この会議に参加する道中で…
行きはJR車中で寝過して次の駅まで行ってしまい
帰りは、乗り遅れ。
ちょっとお疲れの一日でした。
がんと就労を考える
2014年2月20日 10:54 AM
この時期は出張で数日留守にして家に戻ると、庭の花の様子が変わっていて驚くことがあります。
クリスマスローズが咲いていました。
わたしの一番好きな花なのですが、まったく世話もできず。
それでも、今年も花をつけてくれました!
さて、今週月曜17日に、
厚労省の「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」が開かれたので傍聴してきました。
がんの治療のため、仕事をしながら通院している人は32万人(H22年厚労省調査)いる一方、
がんの診断後、勤務者の34%が依願退職、解雇(H16年 「がんの社会学」研究班)という現実もあります。
がんになっても、本人が希望すれば仕事を続けられる社会にするためには
どんな支援、対策が必要なのかが今後協議されます。
患者・家族の代表も構成員として参加しています。
議論の行方を注目したいと思います。
わたしたちも、がんと就労について考えるシンポジウムを3月16日に開催します。
エッセイストの岸本葉子さんを基調講演の講師にお迎えします。
詳細はトップページのイベント案内に掲載しました。
ぜひご参加ください。
タオル帽子
2014年2月8日 11:28 PM
関東地方では「近年にない大雪」とのことです。
松山でも、ここ数日は雪が舞いました。
先週の暖かさでほころんだ梅が凍えているようです。
そんな寒さの中、町なかサロンではホッコリ暖かな特別サロンが開かれました。
タオル帽子を手作りする企画です。
10人の方が集まってくださいました。
2時間ほどで出来あがったのは、こんな感じ。
好評につき、今後も継続して開催したいと思っています。
…とえらそうに紹介していますが、わたしは縫い物が苦手なので参加せず。
女性ピアサポーター3人が企画し、開催しました。
型紙を探し、タオルや道具を揃え、丁寧に準備をしてきました。
その気持ちが伝わったのか、いいサロンになったようです。
わたしが髪が抜けた時、
隣のベッドの患者さんがピンクのタオルで帽子を縫ってくれました。
あのあたたかさは忘れられません。
きょう出来あがった帽子も、どなたかの気持ちをあたためてくれることと思います。
リレー・フォー・ライフ
2014年2月2日 11:00 PM
きょうは、東京で『リレー・フォー・ライフ・ジャパンサミット』に参加してきました。
愛媛では毎年10月に開催している『リレー・フォー・ライフ』
2013年に開催された41か所の実行委員が集まって、
去年の総括と今後の取り組みを話し合いました。
いまを生きている患者、経験者のために。
先に旅立った仲間のために。
家族のために。
仲間がいる、ひとりじゃないことを再認識し、一緒に歩いていく。
そして、いまは病気と無関係で過ごしている方たちに
がんと向き合う人のことを知って、支援していただくために。
愛媛では、この思いをぶれることなく大事にして
今年もリレーを開催します!
岩手県がんフォーラムにて
2014年1月19日 10:29 PM
雪の岩手県盛岡市へ行ってきました。
18日に開かれた「岩手県がんフォーラム」に参加するためです。
今年で6回目を迎えるフォーラム、今年のテーマは「ピアサポート」です。
そこで、愛媛での取り組みを紹介するようお声掛けいただきました。
愛媛で「患者力」を訴えて取り組んできた事をご紹介させていただきました。
後半は、岩手県内の医療機関で開催されている「サロン」について報告されました。
その中のひとつ、大船渡病院は、震災で大きな被害を受けた気仙地域にあります。
普通の医療を取り戻すだけでも大変なところですが
がん患者と家族のために、という熱い思いを持つ看護師さんが中心になってサロンがスタートしました。
その労力は大変なものだったと思いますが
報告の中の写真から、あたたかなサロンの様子が伝わってきました。
昨年6月に、わたしも大船渡病院をお訪ねした経緯がありますので
一歩を踏み出されたことをとても嬉しく思いました。
どこのサロンも、中心となるスタッフの確保や労力の問題があり
院内でいかに理解を広めるか、
またひとりひとりの参加者の期待にどう応えるかが課題となっているとの報告でした。
それは岩手も、愛媛も同じです。
おそらく、ピアサポート、サロンに取り組んでいるところはどこも同じだと思います。
それでも、仲間と語り合う場はわたしたちにとってとても大切です。
試行錯誤をしながら、より良いものへ育てていくことが大事なのだと思います。
改めて、愛媛でももっとがんばらなければと思いを新たにしました。
このテーマを取り上げ企画してくださった岩手医科大学の木村祐輔先生はじめ
ご一緒させていただいた岩手県内医療機関のサロンご担当のみなさま、ありがとうございました!
がんとリハビリ
2014年1月13日 8:24 PM
12日は勉強会を開催しました。
テーマは「がんとリハビリ」
写真は、チューブをつかったストレッチに挑戦している場面です。
講演と併せて、このように体を動かすことも取り入れた勉強会でした。
リハビリというと、整形外科領域か脳血管疾患の後遺症対策というイメージが強いものですが
最近では、がん治療でもリハビリの重要性がいわれるようになっています。
がん自体が直接、体力低下や機能障害を引き起こしたり
治療によって不都合が起こったり
進行に伴ってさまざまな症状が起こることがあります。
呼吸機能の低下や、神経障害、腕が動きにくくなるなどの症状です。
こうした症状への対応を行うため、
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が、専門の研修を受けリハビリを行うようになってきました。
以前に、緩和ケア病棟に入院していた男性が
「人生最後の目標は、一人でお風呂に入れるようになること」と言って
リハビリに取り組んでいる話をうかがったことがあります。
病気があっても、またそれによって不都合が起こっても
その人が望む生活をするための治療や支援が提供されることはとても重要です。
次回例会は2月2日(日)13時30分から
仲間同士で語り合う交流会の予定です。
ようやく
2014年1月5日 5:34 PM
2014年最初の更新です。
5日にしてようやく…。
今年も、町なかサロンの情報やがんに関することを書いていきます。
よろしくお願いします。
毎年のことですが、いくつかの締め切りを抱えて年を越します。
今年もそうでした。
その一つは12月20日が締め切り。
何とかクリスマスまでに、いや仕事納めまでに、あぁ年が明けてしまった…というわけで
喉に刺さった魚の骨のようでしたが、ようやく完成!
2000年からずっと連載させていただいている『ぽあん』の原稿です。
松山市の創風社が出版している文芸誌です。
編集をしている方が、わたしの病気を知って
「ご自分の経験を書いてみませんか?」と声をかけてくださいました。
年2回発行、14年間「生と死をみつめる」というテーマで
自分の病気に限らず自由に書かせていただいています。
もともと口で伝える事を仕事としていた人間で、活字にするのは大の苦手。
毎回産みの苦しみで、今回もようやく…です。
もう少し余裕をもって、先回りして仕事ができる年にしたいなぁと
これもまた毎年の事で。
どうなることでしょうか?!
来年へ
2013年12月31日 11:10 PM
たくさんの別れと、大事な出逢いのあった今年が終わります。
みなさんにとって、来年が良い一年となりますように。
”こまちゃん”
2013年12月29日 11:14 PM
”こまちゃん”です。
わたしたちの仲間がフェルトで作りました。
モチーフは、愛媛県の鳥こまどりです。
もともとは、リレー・フォー・ライフのフラッグ用に仲間が描いてくれた絵があり
それを立体にしたものが、この人形(鳥形?)です。
手のひらに乗るくらいの小さなものです。
あまりにもかわいらしく出来たので、自分たちだけで楽しむのではなく活用しようということになり
小児がんに向き合う子どもさんたちにプレゼントすることになりました。
7月から町なかサロンで「こまちゃん倶楽部」を開いて製作を続けました。
患者さんやご家族など、病気に向き合った経験のある人たちが
子どもたちへの思いを込めて、丁寧に作り上げました。
ようやく完成した50体(50羽?)は
今月に入って愛媛県立中央病院、大学病院、松山赤十字病院へお届けしてきました。
松山赤十字病院のfacebookで紹介していただきました!
わたしが入院していた頃、同じフロアに小児科病棟があり
小さな手に抗がん剤治療用のルートを取った子どもを見かけていました。
大人でさえ辛い治療に小さな体で向き合っている姿を目の当たりにして、胸が痛みました。
現在、小児がんの治療成績は向上し
7割から8割の子どもは治る時代になったと聞きます。
しかし、成長期に強い治療を受けることで、後々さまざまな問題が起こってくることもわかってきました。
患者数が少ないために治療薬の開発や承認も進みません。
こうした小児がんの問題に、ようやく国は取り組みを始めたところです。
わたしたちも、小児がんの問題にも目を向け続けていきたいと思います。
小さな灯り
2013年12月24日 11:26 PM
クリスマスイブです。
デパ地下のケーキ売り場の賑わいを横目に、夕食用のお弁当を買って
町なかサロンへ。
夕方6時から、夜のサロンでした。
参加してくださった方と2時間のオシャベリ。
病気の不安、医療者とのコミュニケーション、お墓探しの話まで。
仲間だからこその遠慮のない話が続きました。
満足に眠れないとおっしゃっていた患者さん、今夜はどうでしょうか?
町なかサロンは小さな場所です。
でも、その小さな灯りを求めて足を運んでくださる方がいる限り
この場所を守り続けようと、改めて思いました。
あす(25日)は市立宇和島病院でサロンが開かれます。
午後1時30分から、1階栄養相談室にて。
ピアサポーターが心を込めて準備してお待ちしています。